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確かめたい*
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色んなことがありすぎてつい忘れがちだけど、ここで1つ確認しておこう。
今日はまだ、土曜だ。
話がひと段落ついたところで、旭さんと綾さんは
「あとは若い2人に任せよっか…」
「……そうだね……僕らも久し振りにさ、…2人で…」
「え。なぁに…?」
怪訝そうに見上げる綾さんに、旭さんがスッ…と長身を折って耳もとに何か囁いた。
それを聞いてこくんと頷いた綾さんはそれ以上何も言わなくなって、少しだけ頬を上気させた。
そして旭さんと腕を組み、
「星(あかり)、今夜はうちにあっくん連れて来なさいね。
あ…だけどなるべく遅くね、遅く♡」
玄関に見送りに来てる星(あかり)と俺にそう言うと、めっちゃご機嫌で帰って行った。
……今の、絶対語尾に♡(ハートマーク)ついてたよな……
しかも会話の内容…!なんか恥ずかしい…!!
隣にいる星(あかり)の表情を覗いてみた。
俺の視線に気が付いた星(あかり)はなんとなく恥ずかしそうに
「…ごめん、なんか…2人ともテンション高くて」
そう言って口もとを手でおおった。
そんな仕草は旭さんとおんなじだな…
ほんわかした。
「んーん。大丈夫。…俺のママも生きてたらあんな感じだったのかな〜…って思ったけどね」
そう言うと星(あかり)が穴開ける勢いでじっと俺を見た。
……え。なんか変なこと言ったかな……
でも星(あかり)は別に何も言わないで、
「…そっか」
手を差し出してきた。
……手を繋ごう、…ってこと。
「………」
その手を繋ぎ返した。
俺より少し小さめの手…、…小さいというか、俺のより直径1ミリ細めの骨で形作られているというか……
何だろ……ただ、
守りたい…
そう、思った。
玄関先からリビングの方に星(あかり)と一緒に戻るとパパがソファーでウトウトしてた…
昨夜は夜遅く帰って来て、それから夜どおし起きてずっと俺や旭さんと話してたし、今朝もさっきまでずっと起きてた。
…疲れたんだろう。
こくん、こくん、としてるパパの肩にそっと触れて
「パパ…、ベッドで寝なよ…」
俺が起こそうとすると、パパがうん…と言って薄眼を開けたので起きたのかと思ったら
「……くの血………よかった…美味しくて…」
ムニャムニャ言ってる。
あーー…これ完全に寝ぼけてるな……
そっと肩を押してやった。
そのままソファーに崩れるみたいに横になったパパは長い足がソファーから大々的にはみ出してたけど、…まぁこの時期なら風邪は引かないでしょ。
寝室から薄い夏用の羽毛布団を引っ張って来て、ソファーで眠ってしまったパパにそっとかけてあげた。
・
・
・
星(あかり)はテーブルの上のお皿やグラスをキッチンに運んでた。
食器を洗ってくれるつもりらしかった。
「あ、いいよ星(あかり)そこに置いてて。…後で俺やるから…」
声を掛けると星(あかり)は
「いや、俺がやるよ…あっくんは少し休んでて」
振り返ってニコッとした。心臓が30センチくらいドッと跳ねた。
何今の。……なんかめっちゃ
…… 、… …やばい… ……
『100年使える』という触れ込みのソファーに寝ているパパが本当に寝てるか、寝息を確かめてから星(あかり)が食器を洗い始めたキッチンに行った。
I型になってるキッチンの、シンクの後ろに星(あかり)をサンドイッチするみたいに立ってみる。
洗剤を使って手際よく洗ってる星(あかり)の背後から
「手伝おうか……」
スッと手を伸ばすと
「うっわ!?びっ、…ビックリした…!」
驚かせてしまったらしい。星(あかり)が大げさなくらいビクンと跳ねた。
「ア、驚かせてごめん…」
「いつのまに後ろにいたの…」
「さっきから」
何気なく会話するけど、…えっと…、……
…距離が、…近い…な……
星(あかり)の頬が赤い。手は泡だらけだった。濡れ手に泡ってこういうことを言うのかどうなんだ。……
「………あっくん、近い……」
「うん……」
チラリとソファーの方に視線をやると、背もたれに隠れてちゃんと見えない。
足だけは長すぎてアームレストからはみ出しまくってるけど大丈夫…、パパはぐっすり寝ていた。
昨日から外れっぱなしのリミッターが頭のすみでガチャガチャ異様なくらい音を立ててる。
…五月蝿いな……
今、忙しい。……邪魔しないで
俺に顔を向けてる星(あかり)の大きな瞳が少し見開いて、それからスローモーションのようにゆっくり閉じていく…
腕を伸ばしてまだ出しっ放しの水を止め、シンクを壁がわりにして壁ドンみたいにその身体を閉じ込めた。
星(あかり)は、瞳を閉じた。
唇が、少し震えてるみたいに見えた。
…まつ毛、長いよな……星(あかり)…
キスした。
---
(続く)
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