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黒色の闇 後編
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バタンと音を立てて倒れたそれは、いつもは今その光景を見た幹部を
いじり倒しているはずの黒希であった。
そんないつもの黒希との差にそこにいた全員は困惑の色を浮かべる。
今、まさに、いつもは自分たちをいじってくる元気なやつが
目の前で急に倒れたら誰だってそのいつもとの違いに驚くだろう。
ロ「ちょ、黒希!!大丈夫か!?おい!!;」
一番最初に近寄ったのは成人男性よりも
少し(ではなく遥かに)小さい身長のロボロだった。
近寄るなり心配の言葉をかけるが、反応はない。
寧ろ、顔を見てみると驚くほど顔色が悪い。
これは本当に大丈夫なのか、医務室に運んだ方がいいのではないか、
そう思うくらいだ。
シャ「え、こ、こいつ大丈夫なんか?;」
チ「いや、見た感じ絶対大丈夫じゃない奴やろ!;」
エ「と、とりあえず医務室に連れていきましょう!」
コ「そうやな!」
コネシマが黒希を背負い、医務室まで走る。
そのあとをその場にいたロボロ、シャオロン、チーノ、
エーミールは一緒に走っていった。
*****
し「外傷はないし、何か病にかかってるわけでもない。
これは精神的な面の可能性が高いね。」
「「「「「精神的な面?」」」」」
しんぺい神のその言葉に一同は疑問符を浮かべた。
シャ「精神的な面って、あの黒希が...?」
いつもはあれほど元気なのにとにわかに信じがたかった。
しかし、よく考えてみれば黒希は柚希のもう一つの人格だ。
人が二重人格になるときは一人では抱えきれないほどの
何かを背負ってしまった時だ。
つまり、黒希はその一人で抱えきれないものを背負うために
生まれたようなもの。
何も精神的な面で何かあっても可笑しくないのだ。
ロ「どうすればええんや?」
し「んー...落ち着かせれれば大丈夫だと思うんやけど、
この感じだと難しいかもね。」
ロボロのその問いに返って来た言葉はどうしようもないものだった。
*****
コ「...どうすればええと思う?」
その後、しんぺい神に追い出された一同は廊下を歩いていた。
その途中、コネシマはぽつりとそうつぶやく。
いつもはもっと大きい声量で物事を言う彼は、
それについても黒希にいじられる。
そんな彼がここまで小さな声で真剣に物事を
言ったことはあっただろうか?
...全くないわけではなかったとしても、
普段の彼では見られないことだろう。
そこにいた四人はそんなコネシマの様子に目を丸くするも、
視線を下に持っていった。
チ「俺達にどうにかできるんかな...?」
その問いに最初にそうつぶやいたのはチーノだった。
それに続いて、他のものも口を開く。
エ「......確かにそうですよね。」
ロ「でも、あの状態で放っておけるか...?」
辺りが暗い空気に包まれる。
...が。
柚夏「あれ~!なんでそんな暗い顔して歩いてるの~?」
そんな雰囲気の中、その雰囲気をぶち壊すように
明るい声が聞こえてきた。
前を見れば、柚夏が小走りでこちらに向かって来る。
それを見たエーミールは閃いたと言わんばかりに明るい笑顔になった。
エ「柚夏さん!」
柚夏「ん~?な~に~?」
エーミールが柚夏を呼ぶと、明るい笑顔で聞いてくる。
エ「柚希さんと黒希さんの過去に何があったか話してくれませんか!!」
柚夏「??、柚希兄さんと黒希のこと~?」
コ「!、そうか!柚夏に聞けば...!今な、黒希が倒れてん!
それで、精神に何かあって倒れたっぽいんや!何か心当たりないか!?」
ここぞとばかりに聞いてくる五人に疑問を抱き、
圧倒されながらも、柚夏は考え込む。
しばらく考えた後、柚夏は口を開いた。
柚夏「ん~、とね?」
柚夏の話はこうだった。
理由は暗い性格だったからか、何だったのかはわからないが昔、
柚希はいじめられていた。
そのときくらいから黒希という性格が出来た。
柚夏と黒希と友達でいじめは止めていたけど、流石に柚夏や友達では
気付けないことがあったり、黒希が出ることが出来ない状況
だったりしたことがあり、柚希が怖い目に合ったことがある。
いつだったかよくわからないが柚希が注射を異様に
怖がるようになったことがあった。そのときの黒希は元気がなかった。
もう柚夏の方はなくなっているが、柚希と柚夏、友達二人で
遊びに行ったときに大やけどを負って、柚希は火が怖くなった。
そのときも黒希は元気がなかった。
などなど、様々なことを話した。
柚夏「ん~、柚夏が分かるのはこれくらいだよぉ~」
エ「そう、だったんですか...。」
シャ「柚夏、ありがとな!」
柚夏「どういたしまして~?」
柚夏がそう言った後、一同は目を合わせて一度頷き、
柚夏に「じゃあ、また」と言ってどこかへ行ってしまった。
柚夏「???」
柚夏はよくわからないままそこにいたが、
まあいいかとまた歩を進めだした。
*****
医務室へどたどたと複数人が走る音が廊下に響く。
先程柚夏に事情を聴いた五人である。
そんな五人を見て、すれ違った兵士や幹部は不思議そうに通り過ぎる。
そんな風に見れられていることはつゆ知らず、
五人は只管に医務室への道を急いでいた。
医務室の扉がバタンと大きな音を立てて開く。
「「「「「黒希!(黒希さん!)」」」」」
黒希「ふっ...え...?」
し「あれ?どうしたの?;」
そこには既に起きていて、泣いていた黒希と、
それをどうにかしようと焦っていたしんぺい神の姿があった。
しんぺい神はまた戻ってきた五人にどうしたのかと聞くが、
五人はそんな問いに答えることなく黒希のもとに駆け寄った。
チ「お前抱え込みすぎなんや!!」
コ「せやぞ!!もうちょっと俺ら頼ってくれてもええんやぞ!?」
黒希「はっ、誰が、お前らなんかに頼るかよッ!」
そう言って黒希は涙を見せたくないのか乱雑に涙をぬぐう。
し「そんなに目を擦っちゃだめだよ。
...それに、頼ってもいいんじゃない?」
そこまで口を開かなかったしんぺい神がそこでやっと口を開いた。
やんわりと、でもしっかりと芯をもって発言する。
コ「せやぞ!!(二回目)」
黒希「で、もっ...!」
シャ「別にお前は居らんくってもいい存在やないんや!確かに
煽りまくられてイラっと来るときはあるけど、それがお前やろ!?」
エ「私たちはあなたの味方ですよ。」
ロ「やから、頼ってくれてええんや!」
黒希「っ!!」
その後医務室からは黒希の泣く声が小さく聞こえたとか。
*****
黒希「お!ホビットじゃん!w」
ロ「誰がホビットや!!」
...
黒希「よぉ!狂犬チワワと狂犬ポメラニアン!ww」
コ「はぁ!?誰が狂犬チワワや!!」
シャ「狂犬ポメラニアン言うな!!」
.....
黒希「やほーwエミハゲとめんつゆwww」
エ「エミハゲって!ひどくないですか!?」
チ「めんつゆまだ引きずるなや!」
その後も黒希が元気に五人をいじり倒している様子が見られた。
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