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ちゃらお君の恋愛事情(2)
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恭弥は目を見張った。そしてなんとなく理解した。
(本当の自分を知られて嫌われるのが怖いって…せいも思ってた…?)
時々、怖いと思うような目を静に向けられていた。恭弥に対する欲を孕んだ男の瞳。甘く暖かな恭弥の好きな瞳ではないそれに、初めは戸惑っていた。しかし、いつしかそれも欲しいと恭弥は思うようになっていた。
(でもそんなの、わかるわけないか…)
恭弥が考えていること、感じたことの全部を静が知っているなんてのは有り得ない。
「せい、俺は…せいになら何をされても良いと思ったんだよ。頭撫でられたり、抱きしめられたり、キスも、抱かれるのも全部…ほかの誰かだったら絶対許してない」
静は固まっていた。
(こんなの、言わなくてもわかってると思ってた。いや、せいはきっとわかってる。でも…)
「言わないと、伝わらないこともあるよね」
すぅはぁと深呼吸する。どこか吹っ切れた様子の恭弥があっけらかんと言い放つ。
「俺、せいに恋ってやつ、しちゃったんだよね」
静が息を呑んだのが恭弥にはわかった。
「でもね、"俺"と別れて欲しい」
「は…?」
なぜそうなるのか、今の話の流れでどうしてそうなったのか静にはわからない。
(俺はね…美津島静という人間の、全部が知りたいし欲しいんだよ…それに)
「せいは"俺"のこと知ってるだろうけど、俺は"美津島静"って人間を知らない。俺が好きになったのは"せい"だけど、もういないでしょ?だからその恋は終わったんだ」
ややこしい2人だ。嘘で塗り固められた人間同士の恋愛は拗れに拗れて絡まって、一度切ってしまうしかなくなった。
「静先生、俺に"恋"なんてもの教えたんだからさ、責任取ってよ」
恭弥はへらりと笑ってそう告げる。琥珀色の瞳が濡れていて、口元は震えている。強がってはいるものの、怖くて堪らないのだと、静もまた理解した。
「覚悟しとけよ、恭弥。俺は今までみたいに甘くないし優しくない。辞めたいって言ったって逃がしてやらねーよ?」
「ふはっらしくないや」
笑いながら目尻から零れた雫をぐいと拭った恭弥は顔を上げると悪戯っぽくにやりと笑って言う。
「でも、嫌いじゃない!」
たっと駆け出す。大した距離もないのに、恭弥はもう我慢できなかった。飛び掛るように抱きついた恭弥を静は危なげなく受け止める。
暫くぎゅうぎゅうと抱きしめ合うと静は恭弥の顎をくいと持ち上げると顔を近づけた。もう少しで触れ合う…そう思ったところで恭弥がハッと思い出したようにポツリと呟いた。
「あ、ちとせ…」
「は?」
「ごめん、戻らないと。明日家行くから!」
そう言い残すと恭弥は保健室を出ていき、残された静はポツリと呟く。
「まじかよ…」
恭弥は静との問題が解決して満足していた。待ちくたびれているであろうちとせの元へと鼻歌を歌いながら軽い足取りで戻る。
(斗真とちとせも話し合ったら案外上手くいくんじゃないかなぁ〜)
なんて呑気なことを考えながら…
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