アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
90
-
……僕が、いけなかったんだ。
隠れて、探るような事をしたのだから……ハイジが怒って当然だ。
見上げたハイジの瞳に映る光が、小さく揺れる。
少しだけ唇を割り、そこからやっと、整った……穏やかな息が漏れる。
「……ハイジは、悪くない……
僕が、最初から……ハイジに聞けば、良かったんだ」
声にならない声。
どうにか伝えたくて、頭を小さく横に振ってみせた。
酸欠を脱すれば、脳内の痺れが次第に収まってくる。
その度に、全ての感覚がじわじわと体に戻ってくる。
無理矢理こじ開けられた入り口は、熱を持ったようにジンジンと鋭く痛み、ナカは抉られた感覚と、内臓を突き上げるような鈍い痛みが走る。
鼻の奥には、何かの塊。
頬に貼り付いた何かが乾いて、口を動かす度にバリバリした感覚。
多分……今、凄く酷い顔してる。
恥ずかしくて、隠してしまいたい……
だけどそんなのに構わず、ハイジはいつもと変わらない真っ直ぐな瞳を僕に向ける。
……優しい瞳。
ぶるぶるっ、と体が震える。
何故か解らない。
多分、安心したからだろうか……
「……あのホストとは……本当に何にもねーんだよな……?」
何処か遠慮がちに確かめるような、ハイジの声。
膝抱っこされたままの僕は、こくん、と小さく頷く。
「あー、酷ぇなオレ。そう聞いてもまだ、凄ぇ嫉妬してんだぜ」
「……」
照れ隠しなのか、ハイジが口角を吊り上げ、苦笑いしてみせる。
ハイジの嫉妬深さは、今に始まった事じゃない。
生い立ちや施設での出来事を考慮すれば、そうなってしまうのも仕方が無いのかもしれない。
……だけど、以前と比べて少し度が過ぎてるような気もする。
「さくらはオレのモンだって、世の中の人間に見せつけてやりてーのに………
いつさくらが奪われるか、心変わりしてオレから去っていくか、不安で。
……このまま、ここに閉じ込めておきてぇ気分……」
目尻を下げ、僕の髪を撫でる。
冗談っぽい口調。だけど、冗談に聞こえない。
それだけハイジは、本気で僕を……
「……いいよ。僕をハイジの好きにして」
閉じ込められたって、いい。
ハイジがそう望むなら……そうされたって……
ゆっくりと瞼を閉じ、ハイジの言葉を待った。
「……ンじゃあ………一緒に、逃げようぜ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
90 / 554