アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
27.
-
3年生のクラス対抗リレーが終わると閉会式が行われた。
応援合戦は1位だった。総合では3位だった。
ブロックの順位より、MVPだ。こっちの方が僕に取っては重要だった。
「唯斗、そう落ち込むなって。よくやったよ?」
「そうだって、あんなこと言ったの俺だったけど考えてみたらMVPって3年から選ばれるよな」
直樹と山本くんが僕を慰めるように話している。
僕はそれどころじゃない。MVPになって海くんに謝りたかった。ならなきゃ謝れないわけじゃないんだろうけど、なんというか、僕のけじめのようなものだ。
「唯斗がMVPならなくても山本謝ってんだし何落ち込んでんの?」
そうだ、山本くんは体育祭が始まるよりも前に海くんに謝っている。海くんの意思も考えずにあんなこと言うべきじゃなかったって、ちゃんと言っていた。
「直樹、山本くん。海くんと先に帰るね」
「は?」
「海くん、帰るよ」
少し強引だったけど、海くんを連れ出す。2人で廊下を並んで歩く。
体育祭が終わった直後の学校は、妙に静かに感じる。ついさっきまでお祭り騒ぎだったからだろうか。
「海くん、ごめんね」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 143