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ごめんね、海くん。
僕が海くんを好きだと隠していないから。
だから、僕が何かを頑張るご褒美に海くんとのデートなんて言われたりした。
僕がもう少し言葉を考えることができたら、海くんが嫌な思いをしなくて済んだんじゃないだろうか。
纏まらない気持ちをポツポツと伝える。海くんは何も言わずに聞いてくれた。
気付くと下駄箱が目の前にあって、靴を履き替える。
外に出て海くんと並ぶ。
アスファルトに2つの影が伸びた。どれだけ伸びても、交わらない。手を伸ばさなければ、交わることはない。
「唯斗、来週の土曜暇?」
「え?えっと、うん。予定はないと思うよ」
「昼から空けとけよ。俺見たい映画あるから付き合え」
「え!?え???いいの?」
「おー」
「え、なんで?MVPとってないし、デートしてなんてお願いもしてなかったと思うんだけど」
「デートじゃねーし。俺が見たいもんに付き合わせるだけだから」
「それでも嬉しい。ありがとう、海くん」
少し、僕と海くんの影が近づいたような、そんな気がした。
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