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しばらく戻ってこない
何を話しているのかが気になり聞き耳を立てたくもなるが、それはあまり良くないとやめておく
ソファに座り、ついていたテレビに目を向ければ音楽番組が掛かっていて、綺麗な服をきたアーティスト達が声を重ね歌っている
「紘」
「っ、んだよ」
いつの間にか戻ってきた律に、ぐい。と服を引っ張られる
「怜が泊まっていくって」
「…はぁ?」
「良いだろ?」
「え、寝るとこ無えけど」
「俺はソファでも寝れるから全然大丈夫だよ」
後ろから現れた怜が律と同じように「いいよね?」と尋ねてくる
そんなに律と二人きりにするのが心配か。
「…あぁ、好きにしろ」
別に怜が居るからといってまずい事は何もない
そこまで俺達の関係は黒いものじゃないし。
「やったー、りっちゃんとお泊り!」
律と一緒に居たいだけか。
段々と怜の目的がわからなくなってきた
もしかしてそこまで危険視もされてないのか?
考えてみるが結局分からず、あまり深く考えないことにする
「──晩飯はどうする?」
取り敢えず、近くにいた律の手を引いて聞いてみる
「俺作ってきたよ。天ぷら!
さっき作ってきたばっかりだからまだサクサク!」
怜が紙袋から大きめのタッパーを取り出した
「わ、まじか怜。」
「ふふ、嬉しい?
可愛い。よく噛んで食べてね」
もぐもぐだよ。と言われて目を細める律に苦笑する
子供扱いに敏感というか嫌いだよな。
「ありがとな」
若干敵視されているのは分かるが、感謝するところはちゃんと口に出して言わないと。変な意地は失礼になりかねない。
「いえいえー」
にこ、と笑った怜はまた律に「お手て洗った?」とかちょいちょい触れながら聞いている
ほんとに、律のこと大切にしてる。
「洗った!」
怒ってるけど、やってることは大きい声で返事してるだけだし怜も「りっちゃんいい子だ」と頭を撫でてる
「紘」
「…どうした」
律は言いづらそうに声を小さくして側に来た
「退職するの、怜には言ってないから…言わないで」
「分かった」
ぽんぽん、と頭を撫でてやれば炊いたご飯をよそいにキッチンに走っていった
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