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不眠
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「………っ、こわい!」
駄目だ。
怖い。
「何が怖い?」
「やだっ…」
「俺に教えて。大丈夫だから」
…なにこれ。
身体が勝手にガクガク震える
さっきまで紘に縋りたくないと思っていたけれど、怖いが大き過ぎてそれどころじゃなくなった。
離れようと押し返していた力を緩める
「何が怖い?」
瞬間、ぎゅう。と抱き寄せられ、背中をぽんぽんと撫でられた
「…っ、」
「律、俺はお前の味方。
絶対攻撃しねぇから少し落ち着け」
「…怖い…無理っ」
じっとしていられなくて暴れれば、もはや抱き締められるというより固定されるように腕をまわされた
「何がそんなに怖い?何か思い出したか?」
「ひろぉ…っ」
「怖いなら泣け。落ち着くまでこうしててやるから」
その言葉通り、紘はずっと背中を撫でて身体をきつく抱き締めてくれていた
俺の背後に窓や扉を向けないでいてくれたのは偶然か、あえてか。
「体温戻ってきたな」
「………くすり。」
まだ怖い。
全然、普通に怖い。
ただ、紘が優しくじゃなくて、きつく身体を抱き締めてくれているから少し落ち着けている
少しだけ、紘と触れ合っている部分だけが呼吸をできるような感覚。
「ん?」
「…安定剤、……あっ、何でもない」
考えてたら口に出てた。
今回はどうにも自力で平常心に戻れる気がしない
断続的に頭が千切れそうなくらい怖いという感覚が襲ってくる
正直、この感覚に長時間耐えられる精神力は俺に無いような気がした
既におかしくなりそう。
「安定剤?」
「……聞かないで。
薬、飲みたい…」
薬を貰った経緯を話す元気はない。
今はとにかくこの恐怖心から一回離れたい
「…話は後な。場所は?」
「……んんっ」
「どうした、大丈夫。な?よしよし」
「あぁーっ…やだ」
「しんどいな。」
抱きしめたまま薬を探してくれた
「これか。ほら、飲めるか?」
グラスに水を入れてくれて、渡される
これで、落ち着ける…?
震える指先で何とか受け取り、水と一緒に流し込む
「しんどかったな。少しでも楽になればいいけど…」
飲み終えるとグラスを預かってくれる
冷えた指先を包んで温めてくれた
「少ししたら効き始めると思うからそれまでもう少しな」
「…っ、ぐすっ」
「早く効くといいな」
紘に抱き締められながらびくびくと見えない何かに怯え続けた
少しして、少し眠気が起きている時のように思考が回らずぼんやりしてきた
「落ち着いてきた?」
「…ひろ。」
「ここに居るぞ」
「…ん、居て。」
紘の服を掴んでぼやける視界で涙を堪える
「良かった、寝れそうだな」
力尽きるように目を閉じる直前、見えたのはカーテンの隙間から漏れる光。
あぁ、俺のせいで、紘はまた寝不足。
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