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「あ、うまい。」
俺が視線を逸したタイミングで食べられた
変な意味ではなくて、普通に一口目食べるとこ、見てたかったのに。
「こだわりポイントはどこだと思う?」
一口目のタイミングを見逃して、食べてる姿に興味をなくした俺はチャーハンを食べながら問いかけた
「こだわり?…スープとか」
「正解は玉ねぎ」
「正解できたら逆にすごい」
「ふっ、まぁ確かに」
他愛もない会話が楽しい。
紘とのこういう時間が好き。
バラエティ番組で笑ったり、話を聞いたり。
「そろそろ面接の話聞かせてよ」
食事も粗方片付いて飲み物を飲んだり、つまんだり段々とテーブルが落ち着いてきた頃。
いつになく興味有りげな表情の紘に今日一日俺がずっと話したかったことを聞かれた
「聞く?」
「聞く。」
「じゃあまずは家出たところからな」
「そっから始まるのかよ」
「じゃあ店に着いたとこから」
「おう」
「まず、店員さんは俺が行ったとき2人で、一人がキッチン、一人がホールって感じ?
それで、その時空いてたし店長さんが裏に入れてくれてそこで面接をしたんだけど」
店の雰囲気、店長からの質問内容、かかった時間、掴み、全部話した
最初はさらっと伝えようと思っていたけれど口を開いたら止まらなかった
だって久しぶりに頑張れた。
ここまで頑張れるようになったのは紘のおかげだし、紘に聞いてほしかった
「それで、家帰ってきたらじわじわ嬉しくなってきて今に至る」
「すごい、今に至ってる」
「な、受かると思う?」
「いやーお前ヤンキーだからかぁ…どうかなぁ」
「誰がヤンキーだ。そこは受かるって言えよ」
こいつ俺の認識ヤンキーなのかよ。
「冗談。受かると思うよ」
「だよな」
「自信満々かよ」
紘との時間…俺、好きだな
これってつまり紘が好きなのかな?
いやでも好きって…んん。
まだ認めるだけの勇気はない
けど、こういう時間が続けばいいなって思えるのは確かだった
そして後日、ケータイにメールが届いた
『先日はご足労いただきありがとうございました
面接の結果、採用させて頂くことにしました。
今後とも宜しくお願いします。
詳細は追って連絡いたします。』
寝起きでぼんやりしていた頭が一気に冴えた
紘にメール画面をスクリーンショットするとそのまま送りつけた
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