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食堂なう
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「なぁ、けーちゃん……此処って食堂だよな?……な?」
唖然とする俺の目の前にあるのは何処ぞの城の扉だと言わんばかりの入り口。
でかい。でかすぎる。
本当、その一言に尽きる。
「んー、そだよ。 れっきとした食堂、優ちゃん早く入るよー」
けーちゃんは、当たり前の様に答えると平然と城へ入ってゆく。
まて、けーちゃん! 城へ入るなんてフラグだ!!
なんて、悪ふざけしている暇も無く大きな食堂へと足を進めた。
やはり、見た目に劣らず高級ホテルの様な食堂内。
スタスタと歩いて行く割には俺に歩幅を合わしてくれているけーちゃんに気づく。
多分天然でやってるんだろうけどこういうのがモテるんだろうな。
さりげない優しさって奴?
まぁ、こんなところで発揮したって釣れるのは男なんだろうけど。
そんで、男が釣れるから今俺めっちゃ睨まれてるんだろうね。
当たりをキョロキョロしつつ黙ってけーちゃんの後をついていくと少し前を歩いていたけーちゃんが困った様に声を出した。
「んー……。 少し来るのが遅かったかなー。 空いてる場所ないねぇ」
確かに周りを見渡しても、人、人、人。
座れそうな場所は見当たらない。
諦めて教室に戻ろうかと話し始めていた時だった。
「あ、あの! 宮芝様、よろしければこの席どうぞ!!」
小さくて可愛い系の生徒三人が声を掛けてきて俺たちがお礼を言う前に立ち去って行った。
去り際に睨まれたのは気にしないでおこう。
ところで、
「宮芝様ってなんだ?」
気になったのがこの呼び方。
いくらイケメンで人気があっても様呼びは流石にさ。
「んーとね、親衛隊が勝手にそう呼んでるだけー」
さも、興味なさげにそう言ったけーちゃんは既にメニューを見ていた。
「親衛隊って……?」
俺もメニューを見つつ訪ねる。
「んー、なんてゆうか……ファンクラブ見たいな? 顔がいいって困っちゃうねぇ……あ、これにしよー」
話しながら決まった食べ物を注文する。
ちなみに言うと注文はパネルだ。
かっきてきぃ!。
「ほぅ、なるほどな。最後のは余計だけどやっぱけーちゃん人気あるんだねー……俺も宮芝様って呼ぼうかな。あ、俺はこれにし……
「だめ!」
「え?」
決まったメニューを注文しようとした時に急にけーちゃんが声を張り上げた。
そんなに、このメニューがいけないのか?
「どうしたんだよ? これ、美味しくないのか?」
そう尋ねるとけーちゃんは呆れた様に息を吐くと言った。
「あのねぇ…。 まぁとりあえずそれは美味しいから頼んだらいいけど。 俺が言ってるのは名前の事ね、他の奴にどう呼ばれようが興味無いけどさー、ゆーちゃんには宮芝様なんて呼ばれたくない。」
ヘラヘラしてない真剣なけーちゃんの顔に息を飲む。
「……ごめん、けーちゃん」
「別に謝らなくてもいいけどさー、とりあえず優ちゃんは俺の気持ち考えなかった罰としてアーンの刑ね」
気持ちを考えなかったか……。
そうだよな、友達に様呼びなんてされたくないよなー。
「仕方ない、その刑……受けてやる」
そう言って注文しそこねたメニューをやっとこさ頼んだ。
「言ったからねぇ。 撤回はなしだよ優ちゃん」
「あぁ、男に二言はない」
とは言ってみたものの……アーンの刑って一体……?
「早くご飯こないかなー!」
でもまぁ、けーちゃん機嫌が直って笑顔だし……いっか。
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