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17-1 日常の合間に
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ーーー
「あぁ、こんばんは。」
癖になった深呼吸をして部屋に入ると、
ソファに腰掛け優雅に微笑む人が挨拶をしてくれる。
ノートパソコンを閉じ横に退けながら
「おいで、」と呼ばれ、視線を落とした。
……おいで、って、どうしたらいいんだろう。
床に座って…口でする、のかな
それとも…跨るべき…なのかな。
「……なに考えてるの?」
過去の記憶を辿り動けずにいると、
再び声を掛けられた。
顔を上げ、瞳を揺らし困惑していると
首を傾げた人は、笑顔で手を差し出して。
「そんな顔しないで。呼んだだけだよ」
「……ごめん、なさい」
恐る恐る近づくと、そっと手を取りふわりと引いて、ソファに座らされた。
髪を撫でると、寝かせられ膝枕の体勢になって。
「ぁ、の…?」
「クマがあるね。最近眠れてるかい?」
「……」
「その目はなに、好奇?困惑?…僕が怖い?」
「……いえ、驚いて」
「そう。男の膝枕なんて、夢のない物だけどね」
クスクス笑う。
独特な話し方にぽかんとしながら見上げるおれを
その人は細めた目で見つめ、顔に触れた。
「つまらない顔だね、下がり眉は癖かい?」
「……」
「目も腫れているね、泣き腫らしたんだろう」
「……」
「だんまりじゃつまらないよ、それとも眠る?」
矢継ぎ早に質問され口籠るおれを撫で、
明るいのに穏やかな声で語りかけるその人は
じっとおれを見つめる。
…あたたかい目だ。なんだか落ち着く。
猫にするみたいに額を撫でられ、目を閉じる。
少し冷たい手が気持ちよくて、固まっていた身体が
すぅっと軽くなっていくような心地がした。
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