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「分からないけど、待ってないといけないと思ってたとは言ってた。でも、思い出させる努力をしなかったとも」
「どうしてだろう?」
俺には分からない。
首を振ると紅輝も仕方ないかと息を吐いた。
「それで?何があったの?それを菫玲先輩に付けられた理由にはなってないよ」
紅輝の視線は俺の首元に向いている。
「…その、実は記憶が菫玲先輩は戻ってて…」
「えっ!?」
「菫玲先輩には誰にも言わないで欲しいって言われてるんだけど…」
「…まさかそれで別れろって言われて、それ付けられたの?」
紅輝の表情には少しずつ怒りが現れていく。
「えっと…別れて欲しいって最初に言われたのは一週間くらい前なんだけど、そんな感じ…」
「許せない、菫玲先輩…記憶喪失だったとは言え、ちゃんと話し合いをするんじゃなくてこんな嫌がらせじみたことするなんて!」
「仕方ないとも思う…」
「それでそれを藍野先輩に見られて喧嘩したの?」
「喧嘩っていうか…俺言ったんだよね、菫玲先輩に付けられたって」
「言ったんだ…」
「でも、嘘だって…」
「はあ?」
「あの時、直澄先輩、菫玲って呼んでた…いつもは飛世って呼ぶのに…」
涙が滲んでくる。
「灰凌…」
「っ…」
そして俺たちはベッドで一緒に眠った。
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