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117 -side 藍野 直澄-
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「…僕が悪いのっ…忘れちゃった僕がっ…」
涙を流し続ける飛世に、胸が苦しくなる。
飛世を苦しめてるのは、俺だ。
俺が、ちゃんと言わなきゃいけない。
「菫玲は悪くない」
「だって、僕が忘れなければっ…直くんはずっと僕の側に居てくれたでしょっ…」
「そうかもしれない。でも、そうはならなかった」
「っ…直くん…ッ」
「待てなかった俺を許さないでほしい。思い出してもらう努力をしなかった俺を、許さないでほしい」
「…許すっ全部全部許すからっ…忘れちゃった僕のことも許して…それでっ…」
ここで、俺から飛世に触れてはいけない。
俺に、飛世を慰めることは出来ない。
「俺はとっくに許してるよ」
「直くんっ…」
こんなに泣きじゃくる飛世を見たのは初めてで、俺は戸惑ってしまう。
「古瀬を好きになっていく菫玲を近くで見るのは辛かった。でも、古瀬を恨んだりしてない」
「…ぅぅ」
「もちろん、菫玲のことも」
「でもっ…でも、僕は…直くんのことがっ…「菫玲」
言葉を止めると、飛世は顔を歪めた。
「聞いてっ…」
俺は首を振る。
「菫玲、もう終わりにしよう」
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