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地獄のプール開き
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清々しい程の青空、汗が滴る真夏、こういう時は女の子とプールに行きたいと思う物。
だが、そんな妄想も欠片も無く砕け散る。
「男子校に来るんじゃなかった。」
「何で男だけでプール…。」
「先生ー、女の子は来ませんかー!」
「男子校に夢抱くなー、さっさとシャワー台に行けー。」
完全にやる気が失せている男子生徒達はダラダラとシャワー台の下に集まる。
俺は鷹野 虎生(たかの とらお)。
名前負けしている低い身長に母さんに似た女顔がコンプレックスである。
筋肉の付きにくい貧弱な体型を裏切らない運動音痴。
このプール開きも勿論苦痛の塊なのだ。
「たーかーのー?若干シャワー当たりにくい位置にいるんじゃねーよ。しっかり入れ!」
先生に背中を押され、渋々幼なじみの『花』にくっつく。
「虎くんシャワー苦手だったね。」
「花、今の内に体温を上げるんだ。じゃないと俺が死ぬ。」
「無茶言わないで。」
俺が引っ付いているのは幼なじみの大谷 花斗(おおたに はなと)。
こいつは名前勝ち(?)しているイケメンである。
温厚で高身長、バスケ部にいるからかとても筋肉質で泣きぼくろが色気を出しているイケメンだ。
「よしよし、シャワー浴びたらビート板貰ってこようね。」
「よしよししないで!子供じゃないから!」
「あ、シャワー出てくるよ。」
「いやぁああああああああぁぁぁ!」
「鷹野ー、黙ってシャワー浴びろー。」
地獄の時間の後は更にパワーアップした地獄が待ち受けている。
先生からちゃんとビート板を借りた。
よし、入るぞ!
気合いを入れて、足先を少し浸ける。
『チャプッ』
「んぬぅぅうう…!」
「虎くん、ちゃんとビート板持ってるから溺れないよ。」
「わ、分かってる!でも、でもぉ…。」
吸い込まれそうなプールの底に恐怖を感じ、涙目になりながら花斗に助けを求める。
「お前いつまで大谷に甘えてんだよー。しっかりしろよー。」
呆れ声で俺を見るのは黒田 剣(くろた つるぎ)。
色黒で男前、制服改造で校則違反のブラックリストに載っている。
頭脳こそ馬鹿だが、運動神経だけは飛び抜けて良い。
帰宅部なのに。
ピアスやアクセサリーでチャラチャラしているイケメンだ。
この学校はイケメン率が高い。そして緩い。
その緩さから問題児が集まる底辺学校と言っても過言では無い。
そんな人間が集まるプール開きなんぞ基本的にgdgdである。
見てみなさいよ。先生なんか日陰でまったりポテチ食ってやがる。
「うるせぇ!」
「八つ当たりすんなよー。ほら、手貸してやるから。」
「はっ!お前の手なんか借りたくないね!」
「可愛くない奴ー…。」
そのやり取りを見た花斗は苦笑しながら俺の元へ来て、手を引いて優しくプールの水に浸けた。
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