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あれから1週間が経って、あの子の転科が決まった。
担当医になりたいと上司に話すと承諾してもらえた。
カルテを見てみると
名前は、嘉賀 嶺 16歳 とあった。
16歳の容姿では無く10歳くらいだと思っていた。
言葉も幼かった。
昼頃に看護師さんが連れてきてくれるみたいだが、どう治療していくか上司と婦長、担当看護師で念密なカンファレンスが行われた。
お昼過ぎに彼は来た。
新しい病室に入りベッドに座らせた。
ずっと周りをキョロキョロしていて何をされるのかビクビクしている。
俺は屈み出来るだけ視線を合わせ
「どうも!覚えてる??日生だよ!
今日から君の主治医になったよ!よろしくね!」
と言った。
返事もなく視点も合わない。聞いているのかどうかも分からなかった。
ただ1週間前に比べて顔色は良くなった様な…
「夜ご飯までもう少し時間あるからゆっくりしてて大丈夫だよ!」
すると怯えながら
「かえる…かえる…」
「嶺君は帰りたいんだね。だけど治るまでまだ帰せないや。ごめんね。しっかり治していこうね。」
正直なんて言えばいいのか分からなかった。
するとポロポロ涙を流しながら
「なんでちがう!帰らないとダメ。イヤ。お母さん俺必要。ここじゃない。」
というと嶺君はベッドから立ち上がって出て行こうとした。
急いで嶺君の前に出て嶺君を抱き上げた。逃げようとするのを押さえつけてパニックが治るのを待つしか出来なかった。
この気持ちは痛いほど分かった。
「ごめんね、ごめんね、大丈夫だよ。」
これを繰り返すしか出来なかった。
落ち着いた頃ダルそうにしている嶺君のおでこを触ってみると熱があった。
急いで看護師さんに体温計と氷枕をお願いした。
看護師さんに任せて僕は部屋を後にした。
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