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漸く昼休みだ。
暖房が良く効きあたたかくて眠くなりそうな頭を、すっかり冷めたコーヒーの苦味ではっきりさせる。
いただきますと昼飯に箸を伸ばすと、同じく弁当を食べていた教諭が話し掛けてきた。
「ずっと聞きたかったんですけど、長岡先生が前にいらっしゃった学校って進学校ですよね。
どんな感じだったんですか?」
「どんな……。
そうですね、真面目な生徒ばっかりでもなかったですよ。
喧嘩で報告書を書いた事もあります」
処理なんて事務的なものだが、内心は色んな事を思った。
心配であったり、怒りであったり、呆れであったり。
立場上平等でいなければならないが、教師だって人間だ。
クラスの生徒を可愛いと思い、応援したくなる。
あの生徒を除いてもだ。
「まぁ、みんな思春期ですしね」
「中学生に比べれば可愛いものですよ。
あ、でも、小学生なんて元気の塊でしょうし体力が…」
「その体型で体力がって事はないでしょう。
見てくださいよ。
これが本当にやばい贅肉です」
「贅肉なんて、そんな事はありませんよ」
シャツの上から腹を見せるが、服の上からでは分からない。
それに、夏場にYシャツから覗いていた腕だって太っていた訳ではなかった。
たんに、長岡が細いだけだ。
ガリガリの三条と長い時間一緒にいると平均がわからなくなってくるが、決して太ってはいないと思う。
白身魚のフライを口にしながら束の間の休息をとった。
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