アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
血まみれ先生、家に帰る【1】
-
「…先生…?死神先生!!」
「…はっ」
死神先生がコハクを飼い始めて、早1週間が経ったある日の昼下がり。
死神先生が声のかけられた方を見ると、真っ白い髪の毛を低い位置で束ね、血色の瞳を持った男が立っていた。
「…血まみれ先生」
「死神先生、次の講義の時間じゃあありませんか?」
「あぁ…そうですね」
「どうしました?ぼーっとして。……最近何だかおかしいですよ」
血まみれ先生の愛称で親しまれているこの吸血鬼の男は、死神先生の同期であった。死神先生は知的で気品のあるこの吸血鬼に好感を持っていた。しかし一つだけ、彼と分かり合えない所が死神先生にはある。
「……人を飼い始めまして」
「…………え?人を飼い始めた…?……なるほど、そうでしたか」
「驚かないんですか?」
「…驚いていますよ。あれだけ人飼い制度に反対していた貴方が人を飼い始めたなんて!」
血まみれ先生は心底嬉しそうに笑った。
それが死神先生と彼とが分かり合えない所であった。
「それで?どういった目的で?力仕事ですか?暇つぶしですか?それとも…」
「血まみれ先生、私は今でも人飼い制度には反対ですよ」
「…うん?それは矛盾ですよ?貴方は今、人を飼い始めたと…」
「そうした方が都合がいいでしょう?」
血まみれ先生は死神先生が娯楽のために人を買い始めたのでは無いと知り、落胆して頬杖をついた。
「なぁんだ。全く、お優しいですね。人間なんて守る必要性ありますか?」
「…命は皆平等です」
「…貴方という存在からそんな言葉が紡がれるなんて、滑稽ですね」
「…」
「まあ、もし躾したいと思い直されましたら、いつでも相談してくださいね!“うちの子”にも会わせてやってくださいよ」
そう言って、血まみれ先生は腕時計を確認し、その場を去ろうとスーツを翻した。
「では、私はもう今日の講義は終わったので、お先に失礼致します」
「えぇ…お疲れ様でした」
静かになった教員室で、死神先生は講義の準備を始めた。
「…貴方の“子”が、まだ人間であるならば良いですけど」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 24