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コハク、死神先生の助けになりたい【3】
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コハクの手を引いて、部屋に戻っていくクロの姿を見て、ブラッドは不思議そうに首を傾げた。
「作戦って何の事だい?」
「どうやら、コハク様がクロ様に何か相談をなさっていたようで…詳しくは存じ上げておりませんが…」
「ふぅん…面白そうだからついて行こうかな」
「承知致しました。死神先生がいらっしゃいましたら、またお呼び致します」
牛頭に礼を言ったあと、ブラッドは2人が入っていった部屋の扉をノックした。クロは嫌そうにしていたが、コハクが快く扉を開けてくれたので作戦会議にブラッドも参加することになったのだ。
事の顛末を聞いたブラッドは少し考えて、思い出したように言った。
「死神先生の飲んでいる薬は、多分抑制剤だよ」
「…抑制剤?」
「あぁ。自分でも抑えられないほどの欲求を無理やり薬で抑えているのさ。破壊衝動とか精神暴走とか色々な種類があるけど、死神先生のは…」
コハクは身を乗り出して、話を聞いていた。
ブラッドはそんなコハクの様子をじっと見て、くすりと笑って言った。
「…何だったかな?忘れてしまったよ」
「なんだよ…使えねぇー」
コハクは少し落胆したような表情を浮かべたが、考え込むように腕を組んだ。
「あの…ありがとうございます。薬の正体が分かっただけでも、有難いです」
「お役に立てたなら何よりだよ」
ブラッドは優しくコハクに笑いかけた。クロはそんなブラッドを疑うように睨んだ後、コハクに向き合った。
「そんで?どうすんだよ」
「え?どうするって…」
今度はクロが身を乗り出すようにしてコハクに迫った。その目はとても真剣で、コハクは思わず気圧されてしまう。
「だーかーらー!死神先生に薬のことちゃんと聞くのかって聞いてんだよ。まさか、薬の正体が分かったからそれで終わりなんてことはねぇだろうな?」
「…えっと…それは…」
コハクにはまだ面と向かって死神先生に薬のことを聞く勇気が無かった。それを見透かしたようにクロはため息をついて、コハクに小指を差し出した。
「ん!指切り!」
「え?」
「次、ここに来るまでに絶対本人に聞けよ!ブラッドの言うことなんてほんとかどうか分かんねぇんだからな!約束!」
ブラッドはクロの信用の無さに肩を竦めた。しかし、否定はしないその様子に胸騒ぎを覚えたコハクは頷いて小指を差し出す。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます!指切った!」
絡まっていた小指が解かれた瞬間、コハクは無意識に懐かしさを覚えた。まるで以前もこうして指切りをしたような、そんな気がしてならなかったのだ。
「……」
コハクは何かが思い出せそうで、必死に記憶を探ろうとしたその時、ノックの音で現実に引き戻された。
「どうぞ」
「失礼します。死神先生がいらっしゃいました。玄関でお待ちです」
「ありがとう、牛頭。さて…お迎えが来たことだし、今日のところは秘密の作戦会議は解散だね」
クロがぴょんと椅子から飛び降り、コハクの手を引っ張り、耳元で内緒話をするように話す。
「今度は2人きりか、牛頭と一緒に話すぞ。ブラッドは信用できねぇから。あ、あと…約束守れなくても、針千本飲ませたりしねぇよ…安心しろ」
あまりにも可愛らしい耳打ちに、コハクは思わず笑った。
「ちょ…!なんで笑うんだよ!」
「ふふ、なんでもない!…ありがとう、クロ」
「…おう」
「…聞いてみるよ。死神先生に。…針千本飲みたくないからね」
コハクの冗談に、2人は顔を見合わせて笑った。
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