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「カーティスさんの料理は、好きなんです。」
ジャムクッキーと紅茶を美味しく食べながら、そう言った。
「……私の料理を、断られたので……お嫌いなのかと。」
「いえ、すごく好きですよ。」
「なにか行き違いがあったのでしょう。」
カイが上手くフォローしてくれた。
ヴァネッサが来る前、俺はカーティスに料理を教わるくらい、カーティスの料理が好きだった。
カイもそれはよく知っていることだ。
「……ルナ様。」
「はい?」
カーティスが急に真剣な顔になる。
「ルナ様のお料理も、私に任せていただけませんか?」
「へ……?」
「必ず、貴方が満足するものをお作りしてみせます。ですから……」
いいの、かな。
俺、また、カーティスの料理を食べて。
「私を助けてくださったお礼を、したいのです。」
「お礼だなんて……」
「ルナ様、カーティスに任せては?」
カイがそう言って微笑む。
その瞳は良かったですね、と言っているようだ。
「そ、そうですね……ぜひ、お願いします。」
「はい、お任せ下さい。お好きなものやお嫌いなもの、食べられないものなどを教えていただけますか?」
「好きなものは……このジャムクッキーと…お野菜、かな…?嫌いなものはないですが、甲殻類はアレルギーです。」
人魚だから魚が食べられない、とかはないのだけれど、俺は甲殻類のアレルギーがあった。
触るのは平気なのに、体内に入れるのはダメなんだよなぁ。
「かしこまりました。ルナ様のお食事は甲殻類を抜いた特別なものにしますね。」
「あまり酷いアレルギーではないので、少しなら大丈夫だと思います。」
最近は食べてないから、もしかしたらソースでもダメかもしれないけど。
「そうなのですね!かしこまりました。念の為、甲殻類は全て避けますね。」
「早速今夜から、お出しできますか?」
カイがそう尋ねると、カーティスがにこりと笑う。
「はい、もちろんです。女王陛下とは別の時間に出来上がるよう、ご用意致しますね。」
カーティスは先程のことを気遣ってくれた。
その優しさが嬉しくて、ふにゃりと笑ってしまう。
「っ、ルナ様、あまり、そのお顔は……人にお見せにならない方が。」
カイがそう言って、カーティスも苦笑して頷く。
変な顔、してた?
「変とかでは、ないので。ご安心を。」
そう言ったカイは、こっそりと、エリック様の前でだけにしてください、と耳打ちしてきた。
「それでは私はこれで。」
「ルナ様のお食事の際は、私にも声掛けを。」
「わかりました。」
昨日までの態度とは全く違う、優しいカーティス。
前と同じ、カーティスだ。
「あ、ルナ様。」
「は、はい!」
「そのドレス、よくお似合いです。」
にこりと笑ったカーティスはそう言い残して部屋を出ていった。
「……ふふ、だから言ったでしょう?似合う色だと。」
「……うん…!」
これから毎日、ドレスでもいいかも。
なんて、そんなことを思うほど、俺は嬉しくなった。
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