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守護する者たち 18
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人間との同盟。
かつて獣人達がこの世界を支配していた頃、一部の獣人と人が同盟を結んだ。
どうしてそんな事になったのか今では誰も知るものはいない。
しかし当時から獣人は人間を守護し助力してきた。
例えばジャッカル族は軍備という力で、鰐族は治水全般という技術で。
だが人間の数が爆発的に増えパワーバランスが変わりつつある。
優位を保っている間に引くべき時が迫っているのかもしれない。
「それでどうしてアキラを共有なんて話になるんですか?」
幾分落ち着いたアビスが鰐王に尋ねる。
「俺らは獣だ。
欲しいモノは欲しい。
貴種が欲しい。
独り占めは許さない。
でも本音では独り占めしたい。
そんな生き物だろう?
俺らは。」
確かにそうだが。
「アキラが…天女が誰のモノでもなく…俺が手を出さなかったら状況は違ったのかもしれない。
俺がフライングして貴公がそれに続いた。
たが遅かれ早かれ誰かが喰う。」
アビスの顔が強張った。
「各種族の族長やリーダーの嫁に誰が手を出す?
貴公も、もしアキラが只の客人としてここに滞在していたとしたらどうしてた?
まず夜這いをかけて、美味しくいただいて、連れて帰るだろう?
俺だって同じさ。
そういうことだ。」
セベクがアビスの肩をポンと叩く。
「俺達が守ってやろう。
俺達三人は守護する者として、夫としてアキラを守る。
貴公は求婚の誓いを貫き通せ。」
「はい。」
「俺とセテフが認めた次席守護者だ。
その名に恥じない行いを。」
「わかりました。」
「それからこれを。」
渡されたものは一枚の鱗。
「貴公に二つ名の後【鰐王の鱗を剥ぎしもの】と名乗るのを許す。」
アビスの目が見開かれる。
セベクがニヤリと笑った。
「俺もヤキが回ったのかね。
鱗を剥がれたのは貴公で二人目だよ。」
指で卓をコツコツ叩く。
「一人目は射千玉のセテフ。
貴公の叔父上だ、な。」
「叔父上が…」
「叔父、甥にやられてザマないわ。
ジャッカルとは相性悪いのかね?」
アビスは自分に与えられた責任に押し潰されそうになるのを、軽口で解してくれようとするセベクの気遣いを感じた。
「行ってやれ。」
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