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悪魔の恋情、死神の慕情 12
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翌日の午後、賑わう砂漠のオアシスの市にデンウェンとアキラの姿があった。
朝方までアキラを離さなかったデンウェンだが、その底なしの体力と精力には翳りすらない。
アキラは朝まで付き合った……というか早々と意識を手放した身体を揺さぶられていたというか。
それ故、思ったよりも元気で西のオアシスへの道中で熟睡していたこともあり、体力を回復させていた。
昨夜、デンウェンに貪り尽くされる前にした約束。
デンウェンの “ 仕事 ”先、西のオアシスに連れて行って貰うこと。
勿論デンウェンは一も二もなく承知して、今に至る。
午前中で仕事が終わったデンウェンは、今はアキラを抱いて市を散策している。
アキラはというと……
元々好奇心旺盛な彼の事、はじめは手を繋いで歩いていたが買い食いの支払いの間に一人で動いてしまい、有無を言わせず抱き上げられた。
その貴種な外見を隠すため、頭からすっぽりとベールを被っているが、見慣れぬ子供連れの “ 蛇竜 ”デンウェンは目立ってこの上ない。
「デンウェン! デンウェン‼︎
あれなに⁉︎ 次はあれ食べたい! 」
「デンウェン!
これはなんなの⁈ 」
「デンウェン! あそこで大道芸やってる! 僕見たい‼︎ 」
“ 蛇竜 ”デンウェンが小さな子供に振り回されている様はあっという間に広がった。
獣人も人間も雑多な民族の集まるこのオアシスで、貴種の子供を見つめている影が二対、それぞれの想いが絡みあう。
一人はたまたまこのオアシスを訪れていた鬣犬獣族のナイアー・ラトテップ。
たまたますれ違った子供から薫るかぐわしき甘い香り。
目で追っていると、どうやら連れはあの “ 蛇竜デンウェン ”のようだ。
それとなく追い掛けていると、一際目立つ一団と合流した。
“ 獅子族 ”の若君アペデマクと護衛の小隊、女戦士《アマゾネス》も混じっている。
騎獣から滑るようにして降りた【琥珀】の若君アペデマクが駆け寄った。
「天女さま‼︎ 」
『天女さま? 』
ナイアーは木蔭から身を乗り出した。
抱き合ったふたりはアペデマクの方が僅かに背が低い。
“ 天女さま、お顔をよく見せて下さい。 ”
身体中をすっぽりと覆っていたベールが取り払われる。
顕れたのは年若い少女だった。
見たことのない色彩を纏う “ 天女 ”
卑しい自分が心惹かれるのは……必然か⁈
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