アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪魔の恋情、死神の慕情 59
-
常より多量の、少し粘り気のある汗に濡れてアキラは喘いでいた。
一時的に、さらに体温が上がりぬめった肌が敷布を濡らしている。
セテフは気づいていた。
アキラの身体から仄かに薫る【コブラ毒】の香りに。
この身体を侵しているのは、前回の知恵熱などではなくてもっと深刻な事態だったという事だ。
それでも、一度火のついた獣の血はアキラを求めて滾る。
「ラー……愛しているよ……ラー…… 」
愛しくて、愛しくて堪らない。
蠍なんぞにくれてやるのではなかったと本心から思うセテフだった。
コツコツと指で卓を叩く音が響いている。
その様子を見ているヘデデトは無言で続きを促していた。
視線をあげたセベクが、ちらりとヘデデトを窺う。
「アヌビスの館に夫たちの幾人かが集まって話し合いを持ったのだ……
その時、あることが起こった。
完全に俺のミスだ。」
ヘデデトがセベクを睨めつける。
「ヴァジェトがネフェルテムを連れて来ていた…… 。」
「コブラ族の……? 」
「ああ…… まだ10歳かそこらのヒトガタしかとれない幼体だ。
まさか……と思ったな。」
ヘデデトはコブラの親子の姿を思い浮かべていた。
雅な姿の、見目良いコブラの母子。
暫く忘れていた、ヘデデトの劣等感をこれでもか……と刺激する。
「蛇人の早熟さは聞き知っていたが、まさかと思っていたのだ。
……アキラを抱き潰してしまって、さすがにひとりで残して行けずネフェルテムに付いているように言って……部屋を後にした。」
そのあとの話はヘデデトにとって悪夢以外の何ものでもなかった。
たった十かそこらのチビがアキラの色気に当てられて、己の神経毒で身体の動きを封じ、一方的に性行為に及んだ……
それだけならまだ良かった。
チビは……正真正銘すべてが初めてで、感極まったチビが歓喜のあまりそこら中に噛みついて毒を注入した……
聞くだけで寒気がする話。
ヘデデトは、ヴァジェトが以前に【コブラの守護】を与えていた事に心底感謝した。
「その時、ヴァジェトが【毒の上書き】という治療を施して完全に解毒出来たと思っていたのだが……どうやら違ったらしい。」
ヘデデトの胸が冷たい何かに押し潰されそうになる。
「クヌムが言うには……解毒しきれていなかった毒が荒淫をきっかけにして暴れだしたのだろうと言っている。
解毒の為に呼んだネフェルテムは……もうそろそろ着く頃だろう。」
ヘデデトには最後まで聞こえていなかった。
眼前が真っ暗になる。
耳鳴りがして…吐き気すらもよおしている。
“ なんという事だ ‼︎ ”
ヘデデトは強い衝撃を受けていた。
……今の話によるとこの一連の出来事の原因は、遡ってみればすべて自分の浅慮の結果だったという事。
愛しいアキラに辛い思いをさせたのは自分なのだ……という事実にヘデデトはその場に蹲って叫んだ。
「うわぁーーーっ!!! 」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
167 / 1203