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彷徨うもの 50
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ムネビスは、シリス邸での “あの一件 ”を目撃してしまってからは、アキラに対して己の劣情をぶつける事が【罪】だとすら考えていて、今だ性的な接触は一切……出来ずにいた。
だが、この芳香……
さすがのムネビスもクラリとする。
性的に成熟した雌の薫りに雄は欲望を禁じ得ない。
「ムネビスさん? 」
“ 天女さまは自覚無しなのか?
今の自分が雄に、どのような影響を及ぼすかわかっていないのか……? ”
アペデマクは、隣の席についているムネビスの膝に座るアキラを見て……内心溜息をついていた。
本来、己を縛る枷など無いはずなのにこの御仁は、自らに枷を掛けて天女を見護っている。
その枷が外れたとき、彼はどうなるのか……?
「アペ? 」
訝しげな声に顔をあげるとアキラが佇んでいる。
「どしたの? アペ……
ぼーっとして…… 」
次の瞬間、椅子に座ったままで居たアペデマクを、柔らかくて、乳香の香りのする身体が抱き締めていた。
「アペ! アペ! アペ!!
久し振りだね? 今回は暫く滞在できるんでしょ?
あれ? また大きくなった?
……わーっ!? 」
いきなり、今度は反対にアキラが抱き上げられて膝に乗せられた。
「ほら、天女さま……
今は天女さまを膝に乗せられるようになったのですよ?
アペは天女さまに相応しい男になれるよう
日々精進しています…… 」
にっこりと笑んだアキラの唇がアペデマクの口角にふれる。
アペデマクはお返しにアキラの唇を食んだ。
今、ここにいるすべての者の目がふたりの一挙手一投足を見つめている。
特に鬣犬たちは食い入るように見入っていた。
「天女さま……
またお加減が悪かったと聞きました。
こんなに長い時間……大丈夫なのですか? 」
「ん〜 少し疲れたかな?
でも大丈夫。
宴まで時間があるしお昼寝するよ? 」
そう言ったアキラが、彼にとってはカウンターのスツールほどの高さのあるアペデマクの膝からピョンと飛び降りる。
背伸びしてアペデマクの首に腕を回して……アキラは大人のキスをした。
……自分からアペデマクの歯列を割り、猫科特有のザラザラとした舌を絡めとり、吸いついて……唇を離した。
「えへへ…… じゃ、宴でね? 」
アペデマクは、今までアキラの唇が触れていた自分のそれを掌で覆って……呆然と見送っていた。
隣に座っていたマヘスが、立ち上がって礼儀正しくアキラを迎えた。
膝をついて、差し伸べられた指先に口づけして、最上級の礼をとって接している。
アキラはお返しにマヘスの頬に口づけて踵を返そうとした。
マヘスは、アキラの名目のみの夫の中でも一番接触のない夫だろう。
アキラは彼とまともに話をしたことがない。
そんなアキラをマヘスの方が呼び止めた。
「天女殿……
実は今回、妻を伴って参ったのですが……妻が、その……天女殿に御目もじ賜りたいと申しておりまして、宴に同伴してよろしいでしょうか? 」
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