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彷徨うもの 59
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夕刻から始まった宴は、文字通り宴もたけなわになっていて、アキラはいつものようにセベクの膝で、セベクに取り分けて貰った魚を食べていた。
アキラが皆の為に考案した酒の肴も供されている。
適当な大きさのティラピアを塩釜焼きにしたもの。
粒の荒い岩塩を挽いてもらって卵白と合わせてみると海塩の代用が出来た。
程よい塩味が付いて、試食のときの感動が忘れられない。
鶏の骨付きモモ肉をハーブと、岩塩、オリーブオイル、そしてすりおろしたニンニクのタレにつけて石窯で焼いてみた。
嗅覚が鋭いものが多いのでニンニクは控えめにしてある。
そしてアキラが現代からもたらした最高の調味料【マヨネーズ】
これは今回も大活躍した。
薄パンの生地を極限まで薄く伸ばしマヨネーズを塗って石窯でカリカリに焼いたチップス。
いつもの薄パン玉子サンドも並んでいる。
でも一番評判が良かったのが【ローストビーフ】
特に肉食のセテフやアビス、鬣犬たちから絶賛された。
意外だったのは蟲系の方々。
彼らも肉食だったのだ。
アキラは試食のときにその事実を知ったのだが、軽いショックを受けてしまった。
侍女の差配で大量に用意されたローストビーフはワインやビールと共に見る見る間に平らげられていく。
だが、添えられたグレービーソースの評判は良く無い。
唯一ケプリが蜂蜜のソースに興味を示したくらいだった。
それから……アキラが試食のときにアビスに玉ねぎ類についての質問したときのこと……
「ねえ、本当に大丈夫なの?
玉ねぎって僕の世界では犬猫は食べちゃ駄目なんだよ? 」
「誰が犬猫なんだよ⁉︎ 」
アビスがブチ切れた。
その場で俯せに押し倒されたアキラは後ろから無理矢理……
怒りが淫欲への激情となったアビスに、それこそ獣の体位で犯された。
「アキラ……ご期待に応じてこのまま種付けしてやるよ……覚悟するんだな 」
この状況に合わない平坦な物言いに恐れが込み上げてきた。
……翌日も腰が立たない程、激しかった情交を思い出して、アキラは思わず涙目になった。
結局、どういう身体のシステムになっているのかわからないが、ここの獣人たちは玉ねぎ類を食べても身体に異常は起きないようだ。
「precious……少しつき合って貰えますか? 」
アポピスが席を立ってアキラの元に近づいてきた。
彼の後ろに控える蛇の従者が、いつもより幾分大きな竪琴を持って随っている。
「一緒に爪弾きましょう……
先日の曲でいかがです? 」
アポピスの手による竪琴は、弦以外が水晶で出来ていて、少し硬質なそれはそれは雅な音を生み出す。
その事をよく知っている侍女たちは、うっとりとふたりを見つめていた。
アポピスの膝に座り、ピアノの連弾のように曲を奏でているふたり。
その美しい旋律に、打楽器くらいしか使わない鬣犬たちが驚愕している。
そして微笑みあう至高の一対。
“ 白銀の御方 ”アポピスと “ 黄金の女神 ”アキラ。
鬣犬たちはアキラからひとときも目を離せずにいる。
コロコロと笑い、クルクルと表情が変わる、天人であるというこの小さな姫君に心奪われてしまった彼らは一体……
「お頭、献上品の搬入が終わりました 」
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