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彷徨うもの 73
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風を通すために開け放たれたテラスの桟に、一応来訪を伝えるノックをしてアビスが声を掛けた。
「アビス兄上? 」
アペデマクは困惑を隠しきれない。
今は山犬王と共に天女と一緒のはずだ。
現にアビスからは天女の馥郁たる薫りが漂っている。
「アキラがおまえを呼んでいる…… 」
アキラにこの後、残りの夜をアペデマクと過ごしたいと涙目で乞われて逆らえる筈もなく、セベクとセテフは……引いた。
完全に機嫌を悪化させたセベクは早々に引き揚げ、セテフは逡巡しながらアヌビスの別邸へと退いた。
アビスに伴われたアペデマクが寝所に訪れたのはその間無しの事だった。
アビスがつかつかと、アキラが身を起こしている褥へと向かい、額に口づけて
「また、明日…… 」と言う。
「ありがとう、アビス」
そしてお返しのキス。
軽く手を振ってテラスから出て行くアビス。
アペデマクは呆然として彼を見送った。
「天女さま……これは一体……? 」
「僕が頼んだの……
僕は……アペとふたりで朝を迎えたい。
アペが……大人として迎えるはじめての朝を……僕と…… 」
そう言い終わった途端、火でも着いたかと思わせるように真っ赤に顔を染めて……
両手で顔を覆って俯いてしまった。
歓喜と驚愕のあまり……
アペデマクはこの上無いよろこびを与えられて……
瞬間、硬直していたがすぐに駆け寄り、アキラの頼りないほど細い身体を掻き抱いた。
「天女さま…… 」
“ お顔を見せて…… ”
そう言ってアペデマクは、アキラの手に己のそれを重ねて、そっと開いていった。
言ってしまってから恥ずかしさのあまり涙まで浮かべてしまっているアキラの目尻に口づけを落として啄ばんでいく。
愛しい……愛しい、憧れのひと。
出逢ってから、さほど経っていないのに……この方の為に、この方の為だけに、異例の速さで大人になった。
……僕を見て……僕だけを見て!
「天女さま……
お身体は……辛くないですか? 」
褥に横たわり、その腕には最愛のひとを抱いている。
どれほどこの日を夢見たことだろう……
アペデマクは、己の胸に頬を寄せてうとうととしている妻を抱き締めて……目を閉じた。
くすぐったさに目を覚ますと柔らかな感触が胸のあたりを這い回っている。
思わず手をやると艶やかな髪に触れた。
「アーペ! 起きたー? 」
少し悪戯っぽい、声の調子の……天女さま⁈
慌てて身を起こそうとするがのし掛かられていて……動きが取れない。
そのうち暖かな……それでいて柔らかい唇が標的を見つけた……と、ばかりに動き出して乳首を口に含んだ。
「ちょっと……天女さま……くすぐったい! 」
咥内で、舌でころがしながら嗤っている御方の婀娜っぽい目。
思わずゾクリとして抵抗するのをやめた、その一瞬に悪戯っ子の笑みを浮かべた御方が跨ってきて……
どちらかといえば先細のキ頭が、あっという間に呑み込まれていく。
年上の妻に主導権を握られて、騎乗位で翻弄されるアペデマク。
ゆっくり、ゆっくりとした抜き挿しは彼の理性を剥いでいく。
一方、アキラはといえば肉棘のもたらす快感に夢中だ。
白々と明けてきた空に、アキラの感極まった喘ぎが……消えていく。
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