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人質
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フランツの部屋はさすがにお客様だけあって、貨物船の中にある部屋の中でも別格扱いの上等なものだった。
絨毯から壁紙、家具に至るまで、まるでどこかの貴族の部屋かと見紛うほどだ。
しかし部屋の中央にポツンと置かれた木の椅子は粗末なものだった。
それに座らされているのは、もちろんリードだ。
椅子の背もたれに両腕を回され、後ろで固く縛られている。同様に両足もそれぞれ椅子の脚に固定されていた。
身動き出来ない状態でフランツを睨む。
その視線に気づいたフランツは、お茶の用意をしていた手をふと止め、穏やかに見える顔をリードに向けた。
と同時にリードが口を開く。
「ポルタは?」
聞かれたフランツは微かに笑みを浮かべると、
「ああ、あの大柄な青年…いや、レディかな?君の彼女ですか?」
「バッ――ちげーよっ!!!気色悪ィこと言うな!!!」
真剣に怒るリードを、フランツはクスクス笑いながら見つめる。
「彼は大丈夫ですよ。船員たちと一緒に労働に勤しんでいます。力はありそうですからね」
それを聞いて、リードはなぜか憮然とする。
「なんでオレだけ…」
どうやら自分だけがこうして部屋に閉じ込められ、椅子に縛られているのが気に入らないようだった。
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