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何故か痛む
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瞳を深く閉じ、気持ち悪さを押し退けた想汰は、悩みながら口を開く。
「神田先生…なの? 神田先生がΩ、なの?」
九良先生に邪魔されて、あそこに居たかどうかも知らないんだけど…と、想汰は、瞳で問うてくる。
「あぁ、たぶん……」
あの匂いも、雰囲気も。
発情期のΩのそれだろう。
たぶん、あれは、神田のフェロモンの香りだ。
「…たかっちの[運命の番]? だから、そんな……」
想汰の問いに、俺は口籠る。
俺があてられるほどの濃くいやらしい匂いが充満した部屋。
思い出すだけで、意味もなく、胸が引き裂かれた。
「あの感じは、ヤったあとだよ。繁殖行動の濃いフェロモンにあてられたのかもな……」
ちりちりジクジクと、無意味に胸が痛んだ。
でも、先程までの、何をしでかすかわからないほどの衝動や焦燥は、落ち着いていた。
「そんなのもわかるんだ」
「駄々漏れてたからな……」
感心するように声を放った想汰に、俺は、呆れながら言葉を返した。
「でも、決まった相手がいるってわけでもなさそうだよね」
言葉に俺は、不思議そうに想汰を見詰めた。
俺の表情を読み取った想汰は、言葉を繋ぐ。
「だって、番になってたら、そんな独り身のαを誘惑するようなフェロモンばら撒かないだろ?」
…確かに。
あれほどまでに、フェロモンが氾濫するように溢れ出ることもないだろう。
解せない状況が、俺の表情を曇らせた。
機嫌の悪そうな俺の姿に、想汰は胸の前で両手を振るった。
「べ、別に恋人いないってバカにしてる訳じゃないから、ねっ…、ね?」
おたおたとする想汰の姿に、笑ってしまう。
「今さら、近衛の名前にビビってんじゃねぇよっ」
「びっ、ビビってねぇしっ」
引っくり返り上ずる声で、虚勢を張る想汰に、俺は、笑いが止まらなかった。
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