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悪魔が笑う
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再生される映像を、九良と想汰に見せた。
「勃てたら、激痛が襲うチップ、埋め込んだんだって。去勢されたに等しいよね」
言葉と共に、股間の辺りを指差した。
「でも、身体の開発もされてるから、抱かれたら、やっぱ勃っちゃうらしいよ。でも、激痛が走るから……」
快感と痛みに狂ったように叫ぶ宇波の姿に、くくっと詰まるように笑ってしまった。
そんな私に、目の前の2人は、顔を青くする。
「αなのに、こんだけ虐げられたらプライドもなんもズタぼろでしょ。もう、再起不能だと思うんだよね」
いい気味だと私の中の悪魔が笑う。
「そんな教育上よろしくねぇもん想汰に見せんなっ」
「ぁあ、ごめん、ごめん」
スマートフォンを手で押しやる九良に、私は、映像を止めた。
「もう、セックス出来ない身体だし、そんなに心配するコトもないかもだけどね。あぁでも、痛いのが気持ち良くなってたらアウトだけどね」
あははっと豪快に笑う私に、九良は疲れたように溜め息を吐き、想汰は、ぶるりと身体を震わせた。
「帝斗は、飼い殺しにしようと思ってたみたいなんだけど、絶対、妃羅に会わないって保証もないでしょ? 会っちゃったら、妃羅が嫌なことを思い出しそうだって、今は、リリースされて、普通に生活してるみたいなんだよね。勿論、埋め込んだチップはそのままだから、なんも出来ないと思うけど……」
まるで釣った魚のキャッチアンドリリース程度の重みで話す私に、目の前の2人は、唖然とする。
「最初は私にあげようか?って聞かれたんだけど、もらっても困るしね」
困り顔の私に、九良も想汰もついていけないと言いたげな表情を浮かべていた。
ほんのりと漂う想汰の香りが鼻を擽る。
発情期ではないらしい従弟である想汰のフェロモンは、私を魅了することはない。
でも、妃羅のコトを思わずには、いられなくなる。
会いたくて。
抱き締めたくて。
笑って欲しくて。
妃羅を思っていた私のスマートフォンが、震えた。
黒羽家からの検体募集のメッセージだった。
『検体募集:【遮断マスク】及び【防散スカーフ】。対象:未番のα及びΩ』
メッセージの後には、灰色のマスクと柔らかな草色のスカーフの写真が送られてきた。
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