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その頃。
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「 っ、っ……うっ……ふじ…… 」
誰もいない保健室。先生ですら、今は居ない。
ベッドの奥、カーテンも鍵も閉めて。
秘め事をしている、二人。
「 っ……ふふ、ここ、イイでしょ…ヒラっ…俺、知ってんだから 」
「 あっ、むり、もうだめ……!! 」
俺の中に、ヒラからもらった白い液体が流れ込む。
「 っ、はー……はぁ……もっかい、する? 」
「 …ヒラがもっかいしたいだけだろ…俺このあとステージあるから、無理 」
そう。今は11時30分。
このあと俺は、軽音部の演奏を控えていた。
「 ッそっか……急にどうしたの…フジから誘ってくるなんて 」
「 演奏前にヒラ補給しておきたいなって 」
頭をかりかりと掻いてそう言ってみる。
「 何それ。ほら、行ってきなよ、体育館ステージ 」
ヒラが笑って、俺を保健室から送り出そうとしてくれるけど。
「 ヒラは…見に来ないの? 」
未だベッドに横たわったままのヒラ。
俺はお前に、演奏を見てほしいんだけどな。
「 いいよ。俺は体ち__ 」
そこまで言いかけて、言葉をとめた。
体調、と言いたかったのだろうか…?
「 いい、なんでもない。ほら、早く行って 」
にこりとした笑顔に、隠された気持ちは何。
ヒラがなにか隠し事をしているようで、たまらなかった。
「 ん……うん、それじゃ、ヒラ…愛してるから 」
「 うん、僕も 」
保健室から涼しい廊下へと移動する。
人すげぇな。
__今度こそ、俺以外誰も居なくなった保健室。
「 ふぅ… 」
緑から赤へと色付き始めたたくさんの葉に、心が震う。
「 体調悪い事伝えたら、フジは俺に付きっきりになっちゃう。そうでなくったって演奏になんか絶対に集中できない 」
だから。
黙っておくんだ。
フジのことは好きだけど、フジのやりたい事を自由にやっているフジの方が、俺はもっと好きだから。
俺がベッドに顔を伏せたのと、すぐ側の体育館からベースの音が聞こえてきたのは同時だった。
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