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91《直》
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《直》
兄貴に続いて、俺も部屋に入る。
ベッドの中に居たのは、痩せて、女の子みてーな顔した奴だった。
ちっさ…。
中学生か、下手したら小学生でも通るぞ?
兄貴見て、驚いたような顔して。
兄貴は…
兄貴は、何にも言わずに、ただ黙ってる。
その冷たい表情…俺に対する時とはまるで違う。
おいおい、兄貴!
なんか…喋ってやれよ?!
久しぶりとか、具合どうだ?とか!!
黒木さんも、斎藤さんも何も言わねー。
ただ、黙って弟の様子を見てる。
フイと、弟が目を晒した。
…肩が…震えてる…?
……無表情なのに…俺には…
俺には、泣きそうに見えてしまう…。
うーー………よし!!
「えー、始めまして!!
兄貴の弟の直ってんだ。よろしく!!」
進み出て、弟の手を握った。
「え……?」
「おまえも弟だろ?えーと、凛?いくつ?」
「………16…。」
凛は、びっくりして、咄嗟に答え、それにまた、驚いてる。
「高一?」
頷いて、
「……高校、行ってないけど…」
と、蚊の鳴くような声で答えた。
「そーかそーか!!
俺は、高二だから、おまえの方が年下だな!」
「直!!いい加減にしないか!!」
ハッと気付いて、兄貴が怒鳴る。
警官二人が、呆気に取られている。
「わりー、わりー!
はい!黙ってます!」
「全くもう!」
兄貴が、やれやれと言った表情で、ゲンコをくれる。
でも…兄貴の目が優しい…。
知ってるよ?兄貴は、俺に対して甘いんだ。
……だって、見てられなかったんだ。
今にも泣きそうに、俺は感じた凛と
……冷たい表情の兄貴。
どっちも…見てられなかったんだ。
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