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距離感 3
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2人の視線が僕に向く。
「あれ、帰ってたの。気づかなかった、おかえり伊吹」
「な、ななな、なにを········なにを·········っ」
「伊吹?」
「あー······なんかやな予感」
ロケットダッシュのごとく走り出し、ゆづにぃを汚そうとするケダモノをベリッと引き剥がした。
すぐさまゆづにぃを庇うように間に入り込んで、余裕な顔して降参のポーズをしている藤堂さんをわなわなと睨む。
「兄さんに何してるんですか!?僕だけではなく兄さんにまで手を出すなんて!ケダモノです!犯罪者です!警察に通報しましょう!」
「元気だなーいぶちゃん」
「ちょっと!それ以上兄さんに近づかないでください!」
「よしよし伊吹おいで」
何がおかしいのかゆづにぃはクスクス笑いながら僕の頭を撫でるから、大人しくそれを受け入れてゆづにぃの隣に座った。
昔からゆづにぃに撫でられるのに弱くて、優しくおいでって言われると抵抗出来ない。
「今のは落ちた楽譜を拾ってもらった時にバランスを崩しただけだよ」
「騙されちゃダメですよ兄さん。藤堂さんは偶然を装って兄さんに手を出そうとしてたに違いありません。藤堂さんは危険です」
信用ゼロだね、と藤堂さんにゆづにぃが笑うと、藤堂さんも笑いながら同意した。
まるで2人は信頼しきっているかのような空気感が変にモヤモヤする。
ここ数日、この変な感覚をよく覚える。
胸になにかつっかえているような、すっきりしない感じ。
けれど、それが何か考えているうちに泡のように消えてしまってわからない。
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