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ガラッ
資料室のドアを開けると、中は薄暗くなんとも言えない居心地の悪さをしていた。
海斗「四季君?」
海斗からは特に変わった様子のない空間を見つめている俺を不思議に思い、心配そうに声をかけてきた。
俺は、はっと我に返ると無言で中に入り、空いてるスペースにファイルを置いて、ふぅ…吐息をつく。
氷花(早くここから出たい)
もう用事も済んだと出口に向かうも、海斗の手によって引き戻された。
海斗「待って」
氷花「…離せ」
掴まれた腕を振りほどこうと、ぶんぶん振り回すがビクともしない。
氷花「離せっ_!」
ばっと顔を上げると、海斗の綺麗な瞳が醜い俺を映し出していた。
その瞳が俺には酷く怖く思えた。
途端にひっ!と小さい悲鳴をあげる。
怖い怖い怖い怖い。
嫌い嫌い嫌い嫌い。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
色んな拒絶が俺の脳内を駆け巡った。
ひょうか『おとうしゃん…』
氷花「__!!」
ひょうか『なんでかえってこないの?おへやもおそともくらいよ…こわいよ…』
氷花「ひっぁ!!」
ガチャッ…キー
ひょうか『どあ…おと…おとうしゃ!!』
タッタッタッ
ひょうか『おとうしゃ!!おかえ_』
「あ…君が氷花君だね」
ひょうか『あ…ぅ?…おじしゃん…だぁれ?』
「あぁ…私は___」
氷花「いやぁあああ!!」
海斗「四季君?!」
あ…あ…と呟きながら、崩れ落ちる体を慌てて支える。氷花の顔を覗くと、ぼろぼろと大粒の涙を流しブルブルと体を震わせていた。
海斗「…四季君」
呼びかけても返事は返ってこない。
ぐったりと遠くを見据えている氷花を、抱き寄せよしよしと優しく頭を撫でる。
「大丈夫…大丈夫…」と子供をあやす様に、氷花が泣き止むまでまるで呪文のように呟き続けた。
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