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距離 19
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ベットサイドに置いていた携帯を手に取る。
これを使ったのは、イカリさんに使い方を教えてもらった時だけだった。
たしか、ここをこうやって、これを押して、耳につけるって。
ひとつずつ順番に思い出していく。
ひとつしか登録されていない電話番号。
タップはせずにその画面をじっと見る。
何かあったら電話しろって言ってた。何かってなに?
イカリさん、きっともう寝てる。もしかしたらまだ仕事してるかも。
そういえば、イカリさんは何の仕事してるのかな。
俺が怪我をした時、いつも治してくれるからお医者さんかもしれない。
でも、ご飯も作ってくれるから、料理屋さんかも。
色んなことを教えてくれるから学校の先生かな。
乏しい知識で知っている職業に当てはめてみても、どれが正解かわからない。
その時、プルルルルと電話がかかる音がして携帯を落としそうになった。
考え事をしていると、知らぬ間に指が当たってしまったらしく、慌てる俺を置いて電話はイカリさんに繋ぎ続ける。
どうしたらいいんだっけ、と焦っているとついに電話が繋がってしまった。
『シロ?何かあったか?』
何か、何か。
何もないのに電話した。怒られるかな。
『……おい?』
なにか、えっと、なにか…………。
………あ。
「ご飯、食べた……」
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