アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Sexual intercourse through the victim ~Magic Marker Yoshimitsu side~
◆
-
「それで、ね…高取君に聞いたんだ。
吉光君が何か言ってくれたんだよね?
そのお礼が言いたくて。
本当にありがとう」
岡本はぺこっと頭を下げてくるけど、そ
の表情は終始笑顔だ。
ほんわかとここだけ空気が軽くなったよ
うな錯覚さえ起こす。
岡本の笑顔なんて見た奴いるのかという
ほど貴重なものを見てしまってオレは咄嗟
に反応できない。
「本当に、本当にありがとう。
何度言っても足りないくらい感謝してる
んだ。
考えてみたら吉光君だけが僕の気持ちに
ずっと気づいててくれたのかなって。
違ったらごめんね。
でもそれに救われた部分もきっといっぱ
いあって…だから本当にありがとう」
普段、あの高取よりも口数の少ない岡本
が笑顔でとめどなく言葉を並べているのを
聞きながら、岡本は1年分喋っているんじ
ゃないかと他人事のように考える思考がよ
うやく戻ってきた。
「別に…岡本の為にしたんじゃないし。
ただ何もしないのは気持ち悪かっただけ
だから」
「それでも、ありがとう」
高取からどの程度聞いたのかは知らない
けど、感謝されるようなことはしていない
と首を振る。
高取につっかかったのはオレ自身の欲の
為。
そして岡本に対する罪滅ぼしと自己満足
の為だ。
褒められた動機ではない。
それでも岡本はとびきりの笑顔をよこす。
「…何かいいことでもあった?」
「えっ…?」
「いや、岡本が笑ってるのって珍しいなー
って思ってさ」
オレが指摘してみると図星だったのか、
その頬がパッと赤く染まる。
わざわざ尋ねなくても岡本があれだけの
ことがあった翌日にこれだけ笑顔で話しか
けてきたら誰だって察するだろう。
昨日の夜に九条とのメールでヒデが病院
行きになったことと、九条の兄貴が高取と
岡本を岡本の家まで送っていたことまでは
知っている。
岡本はともかく、高取まで岡本の家で下
りたのならその後に何かあったと考える方
が自然だろう。
オレ相手にまでこんな笑顔を向けさせる
ような何かが、だ。
「以前から聞いてみたかったんだけどさ、
岡本って高取のどこがそんなに好きな
の?」
岡本がこんなに高取に一途で高取の為
ならどんなことにでも耐えてみせるのに、
高取といえばあんな状況の岡本を放って帰
るような非道だ。
それなのに、そんな高取のどこがいいの
か。
何が良くてずっと高取のオモチャになっ
ているのか。
今のままでは比喩でもなんでもなく、主
人と性●隷以外のなにものでもないのに。
「全部」
岡本が耳の端まで真っ赤に染めてボソッ
と小声で返事を返してきた瞬間、オレは尋
ねたことを後悔した。
そうだった。
岡本はあんなに鬼畜で非道な高取が好き
でいいなりになっているんだった。
真性の変態ドMである岡本の思考回路は
普通の性癖をもつ一般人とは大きな隔たり
があるのだろう。
「だけど一番は僕をちゃんと見てくれると
ころ、かな」
頬を染めたままポツリポツリと返す岡本
はまさに恋する人間そのものだ。
「あぁ…うん。お似合いだよ。
あの高取の相手は岡本くらいしか出来な
いって」
「うん…っ」
砂糖どころか砂でも吐きたい気分でヒラ
ヒラと手を振ったのに、“あの”と言った
オレの意図にも気づいていない風の岡本は
数回瞬きをしてから本当に嬉しそうに頷い
た。
本当に今更だけど、岡本は重傷すぎて手
遅れだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
55 / 58