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Sexual intercourse through the victim ~Magic Marker Yoshimitsu side~
◆
-
岡本はその後もありがとうと何度も繰り
返し、呆れた俺がもういいからと席へ促し
てようやく岡本は自分の席へと帰っていっ
た。
~♪
鞄の中身を机の中に突っ込み終わったと
ころで、鞄の中で携帯機器が震えた。
取り出してみると島崎からのメールが届
いていて、今朝になっても痛みがひかずに
病院に行くという旨が書かれていた。
“帰りにお見舞いにきて、翔”
島崎に直接言われたなら寝言を言うなと
返すところだけど、本人がいないとどうし
ても口元が緩んでしまう。
名前呼びは本当に卑怯だと思う。
まだどの好きかは分からないと言うくせ
に、オレの中に大きく一歩踏み込んでくる
ようだ。
オレばかりが好きを募らせるようで苦し
いし、それを憎み切れないのも辛い。
だからまだ気づかない。
気づいてはいけない。
オレの中の好きがどの好きなのか、まだ
突き詰めてはいけない。
もし島崎の中で同じ距離になれなかった
時に引き返せなくなるから。
「スッキリした顔してんな」
「ッ!?」
低い声が唐突に耳に入ってきて、携帯機
器を握り締めて震えてしまった。
振り返って声の主を見るとだるそうに鞄
を自分の席に投げ置いたところで、ただ椅
子に座るだけでその存在感が他の生徒と違
う。
「べ…別に。
高取こそ岡本と丸く収まったんでしょ。
良かったじゃん」
つっかかった仕返しとでもいうように意
地悪く笑う高取に言い返すと、“そんなん
じゃねぇ”と低く吐き捨ててムスッとした
顔で黙る。
笑顔が抜け落ちることを忘れたような岡
本とはまるで逆の反応。
これは高取が岡本に上手く丸め込まれた
のか…とも思えたけど、あれだけ高取の言
いなりな岡本がそんな真似をするとも思え
ない。
詮索するつもりはないが、きっと岡本の
望む形で丸く収まったのだろう。
「岡本にありがとうって言われたんだけど」
“岡本に何を喋ったの?”までは続けられ
なかった。
高取の声が遮ってきたから。
「満足か」
「え?」
「お前の望んだとおりの結果になって満足
か」
高取はちょっと苛立ったようだったけど
言われて思い当たった。
高取からしてみたらオレに上手く唆され
たようで気分が良くないのだろう。
だから誤解のないように訂正する。
「満足かそうじゃないかって言ったら、満
足だよ。
だってあのまま岡本がぶっ壊れちゃった
らさすがに目覚めが悪かっただろうし」
だけど、と続ける。
「でもお礼を言われるのは違うかなって。
オレは口出しただけで何もしなかったし。
高取の言う通り、ただの自己満足だから。
だけどさ…これであるべき形になったの
かなっていうのはある。
今まで自分がしてきたことを棚上げする
気はないんだけど、高取と岡本の間に誰
かが入るっていうのがそもそもおかしか
ったし」
高取も指摘したように、岡本を介さなけ
ればオレは暗い快楽をずっと知ることはな
かっただろうし、同時に満たされることも
なかっただろう。
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