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「食べさせてあげよっか?」
笑みを浮かべながらスプーンで一口サイズにオムライスをすくい、差し出してきた。
「いや、自分で食べるからいい」
「…そっかぁ」
差し出していた手を下ろすと、慧都はオムライスに目を向け卵を裂き、混ぜ始めた。
オムライスは当然、混ぜて食べるものじゃない。
「僕、痛いことって嫌いなんだよね」
これは、俺に対する脅しなのか。
拒否は許さないという意味なのか。
慧都は俺にスプーンを渡す気はないようだ。
そんなことを考えている間に、オムライスは原型を留めないほどに掻き混ぜられていく。
その行為に狂気を感じる。
俺の知ってる慧都は、こんなやつじゃない。
慧都は、いつだって明るく笑ってて、お願いに困った顔をするけど笑って引き受けてくれる。
「お前…」
「ん?」
「いや、分かったよ。食べさせて」
俺は観念して口を開ける。
慧都は嬉しそうに、ぐちゃぐちゃになったオムライスとは呼べないそれを俺の口元に運んでくる。
それを何度も繰り返し、完食した。
空になったお皿を見て、慧都は満足そうに笑った。
「なぁ、これ外してくれない?」
「何で?」
「何でって…トイレ行きたいんだけど」
「あぁ、そういうこと。分かった、ちょっと待ってて」
一度部屋を出て行った慧都は、手に鎖を持って戻ってきた。
嫌な予感しかしない。
柱に繋がっている鎖を、今持ってきた鎖に付け替えられた。
「この長さあればトイレまで行けるかな」
ニコリと笑ってそれだけ言うと、ベッドの横にある椅子に座り本を読み始めた。
鎖を外してくれることはなさそうだ。
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