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目を覚ますと、自分の部屋ではない場所にいた。
とにかく身体を起こそうとして全身に走った鈍い痛みに、すぐに思い出した。
昨日のことを。
隣で一緒に寝たはずの慧都の姿は既にない。
部屋に設置された時計を見れば8時を過ぎたところだ。
すると慧都が部屋へと入って来た。
「おはよう。朝ごはん出来たからこっち来て。あ、歩ける?」
「……」
返事もせずに、ジャラジャラと鎖の音を鳴らしながら慧都の後に続く。
この長い鎖は見た目より重たくない。
あの慧都ならそこまで気にしていると思えなくもない。
テーブルに並べられていたのは和食で、ご飯と味噌汁、焼き魚に納豆と漬物で、典型的な朝食と呼べるものだった。
昨日のオムライスに炒飯、慧都って料理出来たんだなぁ…
なんて呑気に考えていたが、次に紡ぎ出された慧都の言葉に俺は硬直する。
「僕は大学に行くけど、壱椰はずっとこの家に居てね」
いつもみたいに笑っているのに、その笑顔に恐怖しか感じない。
俺の知ってる慧都はもういない。
「聞いてる?」
「……」
「…ねぇ、壱椰…?」
返事をしないでいると、ワントーン下げた声で名前を呼ばれ、思わず肩をビクつかせる。
「…なんで」
「何?」
「なんで、俺のこと好きなのに、こんなことするんだよ…普通じゃない。これは犯罪だ。好きなのにどうして…」
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