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やって来たのは大学付近にあるカフェ。
「出掛けようって、ご飯食べようってこと?」
「違う。とりあえず腹減っただろ?」
「…まぁ」
食い気味で否定された。
二人でランチを頼み、他愛もない話をしながら食べ終わった頃、翼冴は突然言った。
「よし、じゃあ水族館行こう」
「は?」
会計を済ませ、カフェを出た。
そして翼冴と並んで歩きながら駅へ向かう。
「何で水族館なの?」
「知り合いが働いててさ、入場券もらったんだよ。隣駅のだからそんなに遠くないし」
そういうことか…
でも男二人で行くのはどうなんだろう…
そんなことを思っていれば、すぐに最寄り駅に着き、水族館に到着した。
久々に来た水族館は幻想的で、まるで心が洗われるようだった。
壱椰への想いも、全て消せればいいのに。
そんなことを思っていたら、突然ポンポンと頭を撫でられた。
僕とたいして変わらない背の翼冴に頭を撫でられるという不思議な光景に、僕は首を傾げた。
「なに?」
「え、いや…なんか、泣きそうな顔してるから…」
「僕が…?」
水槽に映った僕は、確かに泣きそうで、そんな表情を見たら、逆に笑えてきた。
バカみたいじゃないか。
全部、自分が撒いた種だ。
「ふふっ…なんか、感傷的になっちゃった」
「何かあった?」
「…ないよ」
僕の言葉に納得出来ていない様子の翼冴。
「俺に話せるわけないか…」
「…そうだね」
「…っ」
「…冗談だよ。本当に何もない」
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