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広い食堂で皆んなで夕食を食べた後、サッシャに部屋へ連れて行かれた。
俺をソファーに座らせ、目の前のテーブルに甘い香りの飲み物を置く。
そして部屋の入口へ行き外を覗いた後に、扉を閉めて鍵をかけた。
「サッシャ、どうしたの?」
無言で俺の隣に座り、いきなり「ごめんっ」と謝る。
俺は大きく目を見開いて、サッシャを見た。
「リオから聞いた。ごめん。ハマトがカナデに無礼を働いたとか…。俺が傍にいるべきだったよ。ごめん…」
「あ~…、リオが話したんだ…。大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだし。ハマトも反省してるみたいだし」
「いや、本当に申し訳ない。アルファム王からもしつこく頼まれてたのに、俺の不注意だよ。…カナデ、俺…アルファム王に殺される?」
「はあ?そんなことあるわけないだろ?ちょっと抱きしめられただけだ…し…、あっ」
「抱きしめられた?はあっ…。それ、一番マズいじゃんか。ハマトには、カナデには二度と近寄らないように注意してるから。もうカナデの前に現れることはないよ」
ハマトと会わなくて済んで安心したけど、親切にしてくれたのに少し気が引ける。
俺は、甘い香りの飲み物を一口飲んで、小さく息を吐いた。
「あ、これ美味しいね。甘い良い香りとほのかに甘味がある。ねぇサッシャ、ハマトは何を勘違いしてるのか俺に興味があるみたいだけど、優しくていい人だよ。俺に会わないということ以外では、罰したりしないでよ」
カップを口につけて飲んでいたサッシャが、驚いた顔で俺を見て、ゴクリと大きく喉を鳴らした。
「え?カナデ、『あいつ嫌いだ。もっと厳しく罰してよ』とか思わないの?なんでそんなに優しいの?あ、そっか。やっぱり神の申し子だから?あ、それとこれは、色んなフルーツを乾燥させて作ったお茶だよ。美味しいだろ?」
驚いた顔のまま、これらを一息に喋ってまたゴクリとお茶を飲む。
俺は少し考えて、恐る恐る話し出した。
「あの、これはアルファムには内緒にして欲しいんだけど…。ハマトって、俺が元いた世界での恋人に似てるんだよ。恋人っていうか、恋人だった人。俺、その人のことがすごく好きだったんだ。だからハマトを見てたらつい思い出しちゃって。もしかしたら特別な目で見てしまってたのかもしれない。だからハマトだけが悪いわけじゃないんだ…」
顔が固まってしまったのかと思うくらい、サッシャがずっと驚いた顔をしている。
俺の方にグイッと身を乗り出すと、「その人はどうしたの?」と聞いてきた。
「この世界に来る前に別れてるよ。ていうか、俺が振られたんだよ。女の人がいいって言われて。すごく落ち込んだけどさ、そのおかげでこの世界に来てアルに会って、今が最高に幸せだから、振ってくれてありがとうって思ってる。今はアルを心から愛してるけど、もしハマトが俺の好きだった人に似てるなんてアルに知れたらと思うと…怖くない?」
「…怖い…」
青くなって声を震わすサッシャの様子に、俺は思わず吹き出した。
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