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俺は、ハマトの胸から身体を起こしてゆっくりと立ち上がった。
ハマトも顔を歪めながら起き上がろうとするけど、足に力が入らないらしく、立ち上がることが出来ない。
「く…っ、身体が…痺れて…っ」
「ハマト?大丈夫っ?」
「あまり動くと、毒の回りが早くなるぞ」
「「毒っ?」」
男が、短剣を手で器用に回しながら言う。
俺とハマトが、同時に驚いた声を出した。
「ああ…心配することはない。しばらくの間、身体を動けなくする毒だ。この短剣に塗ってあったのだ。本当は、これでおまえを動けなくして連れ去る算段だったのだが…。この男が邪魔をしやがった。でもまあ、そろそろ毒が効いて動けなくなってきたみたいだな。ふむ…、この剣の毒はその男に使ってしまったし、かと言って、おまえは素直に来てくれなさそうだし…。仕方がない。痣が残るかもしれないが、おまえの腹を殴って気絶させるか」
「き、気絶させてっ、どうすんだよっ!」
「連れて行くんだよ。依頼主の所に」
「なっ?依頼主って誰だよっ!」
「ん?誰だろうなぁ。ずいぶんとおまえのことを気に入ってるみたいだったぞ?大事にはしてもらえるんじゃないか?生きてても身体だけになったとしても」
俺は、男をきつく睨みつけるけど、怖くて身体が震えてしまうのを止められない。
ーー身体だけって…、一体誰だよっ?その趣味の悪い奴はっ!…どうする?ハマトはきっと強いんだろうけど、今は毒で身体が動かない。魔法?魔法で戦う?いや…俺はかなり練習して使えるようにはなったけど、戦いで通用するものじゃない。自分の身を守るための、ほんの子供騙しみたいなものだ。ということは…もうこれしか…。
俺は、一度目を閉じて大きく息を吐くと、再び男を睨みながら、震える手に力を入れて、革のベルトで腰に巻いていた短剣を抜いた。
男がニヤリと笑って、短剣を握り直して構える。
俺も短剣を構えるけど、目に見えるほど短剣を持つ手が、カタカタと震えていた。
「おまえ、そんなんで俺を刺せるのか?諦めて大人しくしろよ。俺も、おまえを傷つけると怒られるから、気をつけて戦うのが面倒臭いんだよなあ」
「め、面倒臭いんなら、諦めて帰れよ…っ」
「震えてるのに、威勢がいいねぇ。んー、仕方がない。痣と傷が残るかもしれないが、顔を傷つけなきゃいいか。ほらおまえ、震えてないで早く来い」
男は、完全に俺を舐めている。
短剣を構えていた腕を下ろすと、来いというように、俺に手招きをした。
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