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ホルガーに促されて、俺とアルファムは玉座がある段へと上がる。
ホルガーが、アルファムの手に赤い石を乗せると、段を降りて前列に並んだ。
「カナ、カナもこの石を持って」
「え?あ…はい」
アルファムが、両手で持った石を俺に差し出す。
俺も手を伸ばして石を持った所で、練習した言葉をアルファムが述べ始めた。
「私、炎の国エン国王アルファムは、ここにいるカナデの傍から離れず、共に国を支え合い、一生愛することを誓う」
「…私、炎の国エン国王専属騎士カナデは、アルファム王の傍から離れず、共に国を支え合い、一生愛することを誓います…」
言ってる途中から、感動してゾクゾクと身体が震え出した。
ーー俺、本当に…アルの奥さん…になるんだ。
我慢しようと思っていたけど、案の定涙が溢れ出しそうになったその時、二人で持っていた赤い石が輝き出した。
赤い光がだんだんと大きくなり、俺とアルファムの身体を包む。暖かくふわふわとした心地にぼんやりしていると、赤い光が薄れていき瞬く間に消えた。
「…アル、今のは…」
俺がアルファムに尋ねようとした瞬間、ホルガーの声が響き渡る。
「お二人の婚姻を、この国の神がお認めになられた。先程の光が何よりの証拠。こちらに参列された皆様は、証人でございます。どうか、お二人のお幸せを祝福してくださいませ」
参列者の方を向いて大きな声でそう言うと、こちらに向き直って頭を下げた。
「アルファム様、カナデ様、おめでとうございます」
「ああ。これからも至らぬ俺達をよろしく頼むぞ、ホルガー」
「もちろんでございます」
顔を上げて微笑むホルガーに、俺は慌てて頭を下げる。
ホルガーは、俺の様子を見て笑うと、「アルファム様をお願いしますよ、カナデ様」と言った。
「カナ」
「あ、はい…」
「こちらへ…」
ホルガーに頷いた俺に、アルファムが、二つの椅子の後方に置かれた台に石を置くように促す。
二人で石を台の上にそっと置くと、俺はふぅ…と肩の力を抜いて息を吐いた。
そんな俺の右手をアルファムが左手で握ると、並んで椅子の前に立って参列者を見回した。
しん…と静まり返った大広間に、アルファムのよく通る声が響き渡った。
「今、炎の国の王アルファムとカナデの婚姻が成立した。俺は、未来永劫カナデを手放さない。カナデはこの通り、この世界にはない美しい黒髪だ。神の子だとも言われている。その為、狙われることが多かった。だが、正式に炎の国の王の后となったカナデを、もはや狙う者はおらぬであろう」
チラリとシルヴィオ王やバルテル王子を伺い見ると、無表情な二人の頬が、ピクリと揺れたように見えた。
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