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アルファムを見つめて考え込んでいると、「どうした?」と額にキスをされた。
「ん…。アルは、本当に優しいなあ…って感動してた」
「ふっ、なんだそれは」
「だって、アルはベアトリクスさんに、ものすごく怒ってたじゃん。なのに、最後に息子に会わせてあげようとしたり…。アルってすごいよ」
「ふんっ、可笑しなことを言う奴だ。別にベアトリクスを思ってしたことではない。弟のローラントを思ってしたことだ」
「えー?」
「でもまあ、そうだな…。俺はベアトリクスに命を狙われたからこそ、もう二度と傷つけられないようにと、剣や魔法を頑張って強くなった。毒に対する耐性も身につけた。そこは感謝しよう。でなければ、俺はとても弱い王になっていたかもしれぬ。それではとても、カナを守れないからな」
「そっか…。そんな風に思えちゃうんだね。やっぱりアルってすごいよ。アル大好きだよ!でも、弱いアルも見てみたかったような…」
「弱い俺だと、おまえを守ることが出来なくて、おまえは違う国に行ってたかも知れない」
「えっ!それは嫌だっ!アルと一緒じゃない俺なんて想像出来ないっ」
「俺もだ」
アルファムが太陽のような眩しい笑顔になる。
それを見て、俺の胸がキュッと苦しくなる。
本当に大好きだと強くしがみついたその時、子供が強く俺のお腹を蹴った。
アルファムも俺も、まだ寝起きで、丈の長いワンピースみたいな薄い生地の服を一枚着てるだけだから、アルファムにも伝わったはずだ。
「あ!今蹴ったよっ。わかった?」
「…ああ。すごいな。そんなに蹴られては、おまえの腹が破けやしないか?」
「ふふっ、大丈夫だよ。それに、ぽこぽこ動いてくれた方が、元気だってわかって安心する」
「そうなのか?おい、ちびカナ、あまり暴れるなよ?カナの身体が心配だ」
「アル…」
アルファムが、ちびカナって言った。
絶対にちびアルだと思うんだけど、それはまあいい。
アルファムが、お腹の子に話しかけたことがとても嬉しくて、何だかムズムズする。
俺は、アルファムの手を引いて俺のお腹に当てた。
「ほら、ちびアル、お父さんだよ。お父さんは、燃えるような赤い髪に輝く緑の目をして、とても綺麗なんだよ。会えるの楽しみだねぇ」
ふっ…と頭に風を感じて顔を上げる。
アルファムが、もう片方の手で俺を抱き寄せながら、お腹を撫でた。
「ちびカナ、おまえの母親は、高貴な黒い髪と琥珀色の瞳に白い肌をして、とても美しいぞ。今から言っておくが、俺の物だ」
「アルってばっ。何言ってんの?」
いつもいつも俺をベタ褒めするから恥ずかしい。とても嬉しいけど恥ずかしい。
俺は、「もうっ」と息を吐くと、アルファムの胸にペタリと頬をつけた。
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