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深夜になって、ローラントが戻って来た。
とても憔悴していたけど、澱んでいた目に光が戻った気がする。
俺は眠れなくて、わからない箇所をアルファムに教えてもらいながら本を読んでいる時に、シアンがローラントが戻ったことを伝えに来た。
「ローラント様が戻って来られました。ただ今、穢れを落としております。準備が整ったら呼びに参ります。…それとも、お会いになるのは明日になさいますか?」
シアンが、俺にちらりと視線を向ける。
俺の身体を気遣って明日だと言ったんだろうけど、今すぐじゃないとローラントの様子が気になって眠れない。
「ふむ…。俺は会うがカナはどうする?もう遅いから休…」
「会うよ!俺も会う!だって気になって眠れないよっ」
「…わかった。シアン、後で呼びに来てくれ」
「はい。では失礼します」
頭を下げて、シアンが出て行く。
俺は、ローラントは大丈夫かな…と不安になってきて、アルファムの手を握った。
その手を握り返して、アルファムが俺の髪を撫でる。
「ローラントの話を聞くのが不安なら、ここで待っていていいのだぞ?」
俺は、アルファムの目を見た。アルファムには、何でもお見通しなんだ。
「大丈夫…。早く話を聞きたい。ところで、シアンが言ってた『穢れを落とす』って何してるの?」
「泉の水に身体を浸して、身を清めることだ。戦の後や人の死に関わった時などにも、泉の水で清める。おまえを取り返しに月の国に赴いた時も、城に戻ってから泉に浸かっただろ?あの時も、本意ではないにしても人を傷つけたからな」
「そうなんだ…」
「悪いことの時ばかりでは無い。良いことの時も泉の水で身を清める。おまえと俺の結婚式の前にも浸かっただろ?今回の、子を腹に宿す前にも」
「あっ、そうだった。泉の水は本当にすごいんだね!悪いことの穢れを落とし、良いことは幸せを上乗せしてくれるんだもんね」
「ふっ」
「なんだよ…っ」
「いや…、おまえはいつも可愛いな」
「なっ、何言ってんのっ」
「やはり、おまえ以上に愛しい者はおらぬ」
「そんなこと言って、もうすぐ俺はアルの二番目になるんだよ」
「ん?一番目は誰だ」
「ちびアル。俺はずっとアルの一番がいいけど、ちびアルになら仕方ない…」
「たわけ。ちびカナも愛しいに違いないが、俺の一番はカナだ。これは永劫揺るがない」
「アル…」
「それよりも、おまえの方が、俺よりもちびカナばかりになりそうで、面白くない」
「そりゃあ、ちびアルは大切だからね。でも、俺だって一番はアルだよ!アルを愛してるから、アルの子供が欲しいと思ったんだよ!」
髪の毛を撫でていた手で頬を包み、アルファムが唇にキスをした。
二人で「俺の方が好きだ」「俺の方がもっと好きだ」と言い合いをしていると、再びシアンが俺達を呼びに来た。
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