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笑う俺を見て、ローラントも安堵したように笑う。
「よかった。笑う元気があって」
「ふふっ、うん…。気持ち悪いとか以外は元気なんだ。ねえ…、ローラントは、今十六だっけ?」
「そう。でもやっぱりカナデの方が若く見えるよ」
「えー?そんなことないよ。でも…十六でおじさんは複雑だよね。この子が産まれたら、名前で呼ばせてもいい?」
「ぷっ、おじさんを気にしてるの?いいよ、おじさんでも名前でもどちらでも」
「じゃあ名前にしよ。俺はさ、この子はアルに似てると思うんだ」
ローラントから渡された薬を飲んで、コップをベッドの横にある棚の上に置きながら言う。
俺が横になるのを手伝おうと、ローラントが手を伸ばす。
俺は、その手を制するように首を横に振った。
「大丈夫。このまま座ってる。こう寝てばかりだと、夜が眠れないんだよ…」
「そっか…。兄上も一緒に起きててくれるの?」
「とんでもないっ。アルは忙しい身だから、しっかり寝てもらわないと。でもさ…夜眠れない時って、アルの寝顔を見放題なんだよ。月明かりに浮かぶアルの顔、すごく綺麗で…。こんな綺麗な人が、なんで俺なんだろ…って今でも思う…」
「あー…なるほど」
ローラントが大きな声を出して、納得したように笑う。
俺は何のことだかわからなくて、首を傾げた。
「なに?」
「うん…兄上が、僕の前でもカナデは可愛いと褒めるんだよ。それで、僕が最高の伴侶を娶って何よりだと言うと、兄上が一つだけカナデに不満があると…」
「えっ、え?なにっ?」
「カナデは、あんなにも美しいのに自分の容姿に無頓着過ぎる!だって。もっと自覚してもらわないと困る!とも言ってたよ」
「あ、アルだけだよ、そんなこと言うの…っ。アルの美的感覚がおかしいんだよ…」
「いや、僕も兄上の言う通りだと思う。カナデは、もっと自覚を持って周りに注意を払わないと駄目だよ」
「えー…。ローラントの方が綺麗な顔してるじゃん…」
「うん。僕はちゃんと自覚してるよ。僕は綺麗で気品もある。そう振舞っている。だからカナデも、やたらと誰にでも優しくしたら駄目だよ?まあ…そこが、カナデの良い所でもあるんだけど…」
「…俺が優しくしたからって、何かある?」
思い返してみたけど、この世界に来てモテたのって、アルとレオンくらいじゃないか?
バルテル王子やシルヴィオ王は、単に俺を珍しい物としてしか見てなかったし。
ローラントは、大げさに溜息を吐いて、俺を見た。
「リオから聞いたよ?ルート?とかいうパン職人。カナデのことが好きなんだって?よく兄上に処刑されなかったね」
「えっ?ちっ、違うよ?ルートは友達。…好きになりかけたとは言われたけど、好きとは言われてないから!」
「わあ…、その人、本当によく処刑されなかったねぇ」
ローラントが目を見開いて、もう一度溜息を吐いた。
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