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夢中で息が苦しくて何が何だかわからない。
腰が砕けるような痛みが楽になったと思ったら、微かに赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
ーー産まれた…?
俺は赤ちゃんを見たくて顔をあげようとしたけど、身体に力が入らなくてふらふらする。
アルファムが何か言ってる声も聞こえてきた。
俺は口を開くことも出来なかったので、返事の代わりに手を握り返した。でもそこで、ふっ…と辺りが暗闇に包まれた。
周りが何だか騒がしいな。
俺は今何してるんだろ。
とても疲れて、起きたいのに瞼が重くて開けられない。
身体も指一本動かせない。
何でこんなにも疲れてるんだろ。
動けない俺の身体を、誰かが触っている。
ん?…んあっ!後ろの穴に何か押し込まれたっ。なに?座薬みたいなもの?
あっ、んっ、ん…っ、ゲホッ…コホッ…。
苦い…。なにこれ…薬?アルに口移しで苦い液体を飲まされた。
目を開けて姿が見えてなくても、アルのことだけはわかる。
ほら、今俺の頬を撫でているのはアルの大きな手だ。
アルの手は、大きくて温かくて大好きなんだ。
あれ?でも、今触れてるアルの手…熱くない?
すっごく熱いよ!アルっ、熱があるんじゃ…っ。
俺に薬を飲ませてる場合じゃないよっ。
アルこそ、医師に診てもらわないとっ!
そう伝えようとした俺の唇は、ピクリと動いただけで、言葉を発することが出来ない。
ああもう!なんで動かないのっ!
アルに滅茶苦茶抱かれた後も、動けなくなるけど、それとは違う。
でも、お尻に違和感があるんだよな…。
あ、今オムツみたいな布がお尻に巻かれた。
後ろの穴がすごく痛いし、なに?出血してる…の…。
あっ、そうだっ!赤ちゃんっ!俺とアルファムの赤ちゃんっ!俺っ、産んだんだよなっ?
確かに大きな塊が出て、泣き声も聞こえたよ。
でもたぶんその後、俺は気を失ったんだ。
その後どうなったの?
俺は何で…動けない……。
俺の頬に触れるアルの手も、俺にオムツみたいな物を当てて服を直してくれている手も、すごく熱い。
でも、彼等は普通なんだ。
たぶん、俺の体温が、とても低い。
だから熱く感じたんだ。
え?うそ…、俺…死にかけてる?
『子を産む時、半数の男が死んでいる』
頭の中で、アルの言葉がこだまする。
俺は、悪い方の半数に入ってしまうのだろうか。
そんなの、絶対に嫌だっ!
まだ、ちびアルの顔を見ていない。
まだ、この手に抱いていない。
俺に幸せを与えてくれたアルに、まだ何も返せていない。
だから、絶対に死にたくないっ!
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