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アルファムが、俺の頬を撫でて額にキスをする。
「カナ…気分はどうだ?本当にもう大丈夫か?」
「うん。少し目眩がするけど、大丈夫…。俺ね、アルのおかげで目が覚めたんだよ」
「俺の?」
「うん」
俺は、俺の頬を包むアルファムの手の上に手を重ねて微笑んだ。
「何も無い空間の中に立っていたら、突然アルと出会ってからの映像…場面が流れてきて、これを見終わったら死んじゃう!と思ったんだ。だから早くここから出なきゃってアルの名前を叫んだら、アルが返事をしてくれて、俺の手を掴んで引っ張り出してくれたんだよ。知らない?」
「俺が、おまえを…?」
ふむ…と上を向いて、アルファムが考え込む。
しばらく考えて、「わからぬ」と首を捻った。
「俺は、とにかくおまえの冷たい身体を温めようと、ずっと抱きしめて祈っていた」
「んー…、魔法で俺を目覚めさせようとしたんじゃなくて?」
「残念ながら、魔法でそんなことは出来ん」
「そうなの?じゃあ、あの手は誰のなんだろ…。あっ、そんなことよりもっ!俺っ、ちびアルに会いたい!隣の部屋にいるんだろ?」
ずっと会えるのを楽しみにしてたんだ。
今すぐに会いたい!
俺は急いで身体を横に向けて肘を突っ張って起き上がろうとした。
だけど力が入らなくて、ぽふんと倒れてしまう。
「無理をするな。今、ここに連れてきてやる」
アルファムが、心配そうに俺の頬を撫でる。
俺は、その手を掴んで首を振った。
「だめ!だって、さっきミルク飲んで寝てるって言ってたじゃん。起こしちゃ可哀想じゃん。だから、俺が会いに行く!」
「…ったく、おまえは言い出すと聞かないからな。わかった。俺がおまえを抱いて連れて行ってやる」
「アル…ありがとう」
俺は笑って両手を伸ばす。
上半身を屈めたアルファムの首に手を回すと、アルファムが軽々と俺を抱き上げた。
「大丈夫か?」
「ん…大丈夫。ねえ早くっ」
「落ち着け。大きな声を出すとちびカナが起きてしまうぞ」
「あ…」
俺は慌てて自分の口を手で塞ぐ。
アルファムが、隣の部屋へと続く扉を静かに開けた。
部屋の中央にある大きなベッドの上に、とても小さな盛り上がりが見える。
俺の心臓がドキドキと鳴ってうるさい。
アルファムが、俺をベッドの端にそっと降ろした。
俺は、這うようにしてちびアルに近づく。
とても小さな両手を顔の横につけて、すやすやと眠っているちびアル。
俺は、感動してすぐに言葉が出てこなかった。
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