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「あっ!カナデ~っ、ちょうど良かったっ。助けて…、全然泣き止まないんだよう…っ」
「ほんとだ。めっちゃ暴れてる」
俺とアルファムの部屋の重厚な扉を開けると、カエンが大音量で泣いていた。
カエンを抱いて部屋の中をうろうろとしていたリオが、扉が開く音に顔を上げて、俺と目が合うなり泣きそうな顔をした。
「カエン、どうしたの?もうお腹空いちゃった?」
俺はリオの傍に行き、カエンに声をかけながら抱き上げる。
途端にカエンはピタリと泣き止んで、ひくひくとしゃくり上げながら俺のシャツを強く握りしめた。
「よしよし。起きた時に俺がいなくて寂しかった?ごめんね。もう大丈夫だよ。ほら、カエンにお客様だよ」
ひくっ、ひくっと身体を揺らすカエンの頬に、そっと口づける。
小さな身体で一生懸命泣く様がいじらしくて、俺は頬を擦り寄せた。
「なんと…。赤子も可愛いがカナデも可愛いらしいな」
「当たり前だ。俺の大切な后と息子だからな」
「…わかっている。本当にカナデと同じ黒髪なのだな」
「レオン、この子がアルと俺の子供のカエン。ほら、緑の目が綺麗で可愛いでしょ?」
「なるほど。確かに美しい緑の瞳だ。それに色が白いな。そしてエン国王によく似ている」
俺はレオナルトにカエンを見せる。
レオナルトは、カエンに顔を近づけてじっくりと観察するように見た。
「せっかくの美しい黒髪なのに、エン国王に似てしまったか…、残念」
「おい、何が残念なのだ。俺の子なのだから俺に似るのは当たり前だろう。…俺としてもカナに似て欲しかったが」
「カナデに似ていたら、王子が大きくなったら求婚しようかと思ったのだ」
「はあ?おまえになど誰がやるか。第一年が離れすぎであろうが」
「ムキになるな。冗談だ。…しかし、子供も出来て、カナデはますます美しくなったな。カナデ、今幸せか?」
「うんっ、すっごく!」
「そうか」
俺は、レオナルトの問いかけに、笑顔で答える。
レオナルトは、微笑みながら頷くと、俺の頭を撫でて、カエンの頬に指先でそっと触れた。
アルファムが怖い顔でレオナルトを見ているけど、口端が少し上がってるように見える。
この二人は、会うと嫌味を言い合ってるけど、本当は気が合うんじゃないかなと思っている。
レオナルトは、隙あらばアルファムから俺を奪うぞというようなことを言うけど、本当はちゃんと諦めているんだと、俺はわかっている。
レオナルトにはいろいろと助けてもらって、大好きなんだ。もちろん、友達としてだけど。
だから、レオナルトにも幸せになって欲しい。
俺はそう願いを込めて、レオナルトにとびきりの笑顔を見せた。
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