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「リオ、ごめんなさい」
母さまに手を引かれてリオの部屋に来た。
母さまが声をかけて、リオが出てきたから、俺は素直に謝った。
「カエン様…、謝ってくださったから、もういいですよ。俺は怒ってません」
「ほんと?これ、代わりのパンなの。あげる」
「わざわざ持ってきて下さったのですか?ありがとうございます。…ん?このパンは…」
「あ、それ、ルートの店のパン。カエンと散歩がてら、買いに行ってきたんだ」
紙の袋に入ったパンを受け取って、中を覗きながらくんくんと匂いを嗅ぐリオに、母さまが笑いながら言う。
「えっ、二人だけで行ってきたのか?護衛は?」
「俺が母さまの騎士だからいいのっ」
「えー…。カエン様が強いのはわかってますけど、二人で行ったことがアルファム様に知られるとちょっと…」
「リオの弱虫っ。父さまなんて怖くないよっ」
リオは、父さまに怒られるんじゃないかと心配してる。
でも悪いことなんてしてないもん。
母さまと手を繋いで、パンを買いに行っただけだもん。
パン屋のおじさんは、とても優しくて、俺におまけだと言って猫の形のパンをくれたんだもん。
母さまが、俺の頭を撫でて、リオに謝る。
「ごめんごめん。でも俺が勝手にしたことだから、リオは大丈夫だよ。それにルートのパン屋はすぐそこなんだから、いちいち護衛をつける必要なくない?」
「…甘い。カナデは相変わらず考えが甘い!昔っから自覚無しだったけど、ちゃんと自覚して!カナデは初めて会った時から綺麗だったよ?だけどカエン様を産んでから、すっごく綺麗になってるんだよっ!見た目だけじゃなく、内側から滲み出る美しさっていうの?とにかく、変な虫が寄ってきやすいんだから、よーく注意してっ!」
「……はあ?リオが何を言ってるのかよくわからないけど、とりあえず気をつけるよ。そのパン、今日中に食べた方が美味しいから。じゃあね」
「リオってよくしゃべるね。俺の部屋を掃除しに来るおばちゃんみたいだよ。じゃあね」
「え?おば…?」
母さまと二人でリオに手を振って、ぷぷっと笑いながら歩き始める。
母さまが手に持つ紙の袋には、三つのパンと、おまけでもらった猫の形のパンが入っている。
あとで父さまと母さま、俺の三人で食べるつもりなんだ。
母さまは、「あまりリオをからかっちゃだめだよ」と笑って、俺の頭を撫でた。
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