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テキパキと言われたことをして、使用人達は出て行った。
棚が無くなったことで、もっと広くなった部屋を見て、母さまは、また何かを考え始めた。
「この部屋の色合いって、落ち着きすぎてない?」
「んー?よくわかんない。でも、綺麗な部屋だよ?」
「うん…綺麗なのはいいんだけど…。もっとこう、可愛らしくしたいなあと思って」
「かわいいの?」
「そう。今度来るディエス王には、カエンのひとつ下の女の子がいるんだよ。きっと連れて来るだろうから、女の子が楽しく過ごせる部屋にしてあげたくてさ」
「俺のいっこ下の女の子?仲良く出来るかなあ」
女の子が来ると聞いて、ドキドキしてきた。
俺の周りはいつも大人ばっかりで、子供と遊ぶことがあまりないんだ。たまに、父さまに仕える臣下の子供達と遊ぶこともあるけど。
母さまは、黙ってしまった俺の頭に手を置くと、床に膝をついて、俺と目を合わせた。
「どうしたの?なんか心配?」
「俺…男の子としか遊んだことないし…。女の子って、何して遊ぶの?」
「……もうっ!カエンは可愛いなあ!」
母さまは、目を丸くしたかと思うと、たまらないというような顔で、俺を抱きしめた。
「むうっ…。かわいいじゃなくてかっこいいの!」
「ごめんごめん。俺にとってカエンは、かっこいいけどすごく可愛くて愛しい大切な存在なんだよ。大好き!それにカエンは優しいね」
母さまが、僕のほっぺにほっぺをつけて、すりすりとするから、とてもこそばゆい。
でも、母さまのほっぺは、父さまみたいにヒゲが無くてすべすべだから、痛くない。
「うふふっ!カナっ、くすぐったいよっ。俺もカナが大好き!」
「カエンーっ!俺、この世界に来て良かったっ!アルと出会って、カエンを産んで本当に良かったっ」
そう言いながら、母さまは、俺のほっぺにちゅーをした。
「あっ、父さまに怒られるやつ…」
「ふふ、アルには内緒だよ?ていうか、なんで大好きな息子にキスをするの、怒るんだろうね?」
母さまが、人差し指で自分のほっぺを押しながら首を傾ける。
……うん。息子の俺から見ても、カナは可愛いと思う。男だけど、その辺の女の人より綺麗だと思う。父さまが、カナに親しく近づこうとする者がいると怒るのもわかる。…リオが近づくのは、どうでもいいみたいだけど。
「父さまは、カナが大好きだからね!ねえカナ、女の子って、おままごとが好きなんだよね?おままごとの道具、用意してあげたらいいかなあ」
「あ、そうだね!後で頼みに行こう。カエンはかっこいいだけじゃなく、賢いねえ」
もっと小さな頃からわかってたけど、母さまは、俺に甘い。
でも、母さま全部から、俺のことが大好きだっていう気持ちが伝わってくるから、俺はいつも胸がぽかぽかとあったかいんだ。
父さまも、俺のことを大切に思ってくれてるんだとわかる。
でも、父さまの一番は、絶対的に母さまだ。
もしも、母さまと俺が同時に危ない時は、父さまはきっと、母さまを助ける。
それくらい、父さまにとって母さまは大切なんだ。
俺にもいつか、そんな人が現れるのかなあ。
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