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「カナデ様って…カエンのお母さま?」
「そうです」
リリーが首を傾けて、リオを見る。
リオは、深く頷いて話を続けた。
「カナデ様は、ある日突然空から降ってきました。それをアルファム様が助けました。カナデ様は、この世界で尊いとされる黒髪や儚い容姿から、国民には神の子と慕われております。カナデ様と仲良くさせて頂いてる俺は、カナデ様は俺達と同じ普通の人間だと思ってます。でも、カナデ様には不思議な魅力がある。だから、俺もたまに神の子なのでは?と思ってしまう時があります。とにかく、その稀有な境遇や髪色から、カナデ様は他国の王族に興味を持たれてよく狙われたのです」
「神の子…」
リリーの目がキラキラとしている。神の子という所に興味を持ったみたいだけど、大事なことは、そこじゃない。
苦笑しながら、リオが続ける。
「カナデ様は、他国の王族に攫われて怪我をしたり熱を出したりと、それはとても大変な目に合ってきました。その度にアルファム様が、お助けになってきましたが…。そして国内でも、毒で殺されかけたことがあります」
「どくっ!?」
俺は、思わず大きな声を上げた。
父さまが幼い頃から命を狙われて、毒の入った父さまの食事を、間違えて食べたおばあさまが死んじゃったという話は、聞いたことがある。
「おまえのことは俺が守るが、気をつけろ」と父さまにしつこく言われたし。
だけど、母さまが毒で殺されかけたなんて、初めて聞いたぞ!
「リオ!毒を食べたのはおばあさまでしょ?違うの?」
「カエン様…。カナデを狙って、カナデの食べ物に毒が盛られたんですよ。少ししか口にしなかったせいもあって、高熱を出しただけで済みました。それでも、ひどく苦しんで、アルファム様が片時も離れずに看病をされていました」
「そうなんだ…」
母さまは、他の人に比べて身体が小さいのに…。苦しそうな母さまを思い浮かべて、俺は泣きそうになった。
「大丈夫ですか?続けますよ。リリー様もよく聞いていてくださいよ。カナデ様は、その後も大変な目に合いましたが、全て乗り越えてアルファム様と結ばれました。そしてどんなに辛くても頑張るから子供が欲しいと望まれて、カエン様を生んだのです。でも、カエン様がお腹にいる時も、井戸に突き落とされたり呪詛で殺されそうになったり…。本当に辛い目に合ってこられてます。カナデ様は『今が幸せだから過ぎたことはいい』とよく言ってますがね。リリー様、カナデ様は、元は王族ではありません。ですが、これだけの危険に合ってます。それはなぜか?この世界に一人しかいない、黒髪を持ってるからです。そして黒髪を受け継いだカエン様も、エン国を出れば、他国の者に襲われる恐れがあります。とても危険です。なので、そう簡単には他国へ行けないのです」
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